2011 Fiscal Year Annual Research Report
学習順番に含まれる統計情報を自動抽出し自己組織的に物体認識する連想記憶モデル
Project/Area Number |
22500216
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
木本 智幸 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (30259973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上江洌 達也 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (10160160)
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Keywords | 統計力学 / 学習順番 / 自己組織化 / 連想記憶 / イジングスピン / XYスピン / 点アトラクタ / 連続アトラクタ |
Research Abstract |
オーソドックスな連想記憶モデルに相関構造を持つ記憶パターンを学習させた場合の獲得アトラクタの性質を統計力学で解析した。記憶パターンへの相関の入れ方は様々考えられるが、まず、記憶パターンを1次元に並べて、各記憶パターンが隣り合う2つの記憶パターンと強い相関を持つように生成し、獲得アトラクタがどのように変化するか調べた。次に、記憶パターンを2次元に並べて、隣り合う4方向の記憶パターンと強い相関を持つように生成し、獲得アトラクタがどのように変化するか調べた。2次元の広がりを持つ観測物体は、実世界でも多く見られるため、その解析は重要である。1次元状の相関を持つ記憶パターンを学習した場合については、統計力学によって精密な解析を行った。一方で、2次元状の相関を持つ記憶パターンを学習した場合については、記憶パターンの生成方程式を求めることが難しくかなりの時間を要したため、計算機シミュレーションで性質を概観するのみで、統計力学による解析は着手していない。 上記研究はイジングスピンを用いた連想記憶モデルでの解析であるが、XYスピンや位相振動子を用いた連想記憶モデルに展開を行ったところ、解の性質がこれまで知られているものとは大きく異なることが分かった。特に興味深いのは、記憶パターンが鉢状の引き込み領域を持つ点アトラクタとなるだけでなく、複数の記憶パターンが雨樋状の引き込み領域でつながった連続アトラクタにもなる点である。連続アトラクタは脳の情報処理として必要と考えられているが、それがどういうモデルで現れるか知られていなかった。来年度以降、この点についても詳細に研究を重ねる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統計力学を用いた解析が予定通り進んでおり、その結果から得られて新たな研究課題の発掘もできており、さらに、翌年度の研究のための環境整備も進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
理論的な解析では予測していた結果が得られているが、実画像での実験は困難が予想される。実画像での実験は申請書でも記述示したようにチャレンジ課題であるため、まずは、トイモデルでおおまかな結果を確認し、認識モデルとして動作するための必要な条件を探る計画である。また、脳の情報処理として興味深い連続アトラクタを生み出すモデルも発見されたため、このモデルについても統計力学を用いて解の性質を調べる。
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Research Products
(8 results)