2011 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児期のコミュニケーションを駆動する社会的刺激としての共同参与に関する実証研究
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22500242
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋弥 和秀 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 准教授 (20324593)
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Keywords | joint engagement / overhearing / 進化 / 発達 / コミュニケーション / 視線 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1:乳幼児期における対面コミュニケーションが社会的認知や言語発達に影響をおよぼすメカニズムを実験発達心理学的に検証し、行動データに基づいてその基盤を実証的に解明すること。2:成果に基づいた生物学的基礎・社会的経験の相互作用モデルを通じて、近年進展が著しい対話型映像メディアやロボティックスがコミュニケーションおよび教育に及ぼす効果を対面条件との比較の基に提示し、発達支援・発達障害療育実践に寄与しうる知見を提供すること、の二点である。今年度は、昨年度以来おこなってきた、ヒト的対面コミュニケーションとその心理的基盤が進化してきた要因についての理論的考察を進展させ、対面相互作用における視線が、乳児期においてすでに、学習促進の強化子として作用することを示した。昨年度すでに公刊が決定していた、ヒトの目の形態の進化に社会的要因が強くかかわっていることを示した論文の成果と合わせて、視線の社会的意味についての分析がさらに一歩進んだと考えている。また一方で、他者の(暗黙的)対面コミュニケーションの理解については、6歳児でも困難な側面があることを、行動実験データから明らかになり、これについても論文を作成中である。昨年度overhearingに着目したのと同様、行為者自身が主体となっておこなう一人称的対面コミュニケーションに加えて、対面コミュニケーションを観察するとという三人称的かかわりが、社会的認知発達におよぼす影響と、そのヒト特異性は近年の重要なテーマであり、これについてもさらに検証を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
模倣と視線の相互作用に関する実験はやや予定より遅れているが、研究計画に沿った視線の機能および社会的関与の認知発達に関する研究アウトプットは順調に出ていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究の遂行とアウトプットの生成をおこなう。
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Research Products
(5 results)