2011 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症スペクトラム障害の実行機能と中枢性統合に関連する認知特性の解明
Project/Area Number |
22500244
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鳥居 深雪 神戸大学, 大学院・人間発達環境学研究科, 教授 (90449976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 克生 千葉大学, 教育学部, 教授 (40211304)
下山 一郎 千葉大学, フロンティアメディカル工学研究開発センター, 教授 (60115483)
岡田 智 共立女子大学, 家政学部, 講師 (10458862)
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / Executive function / Weak central coherence / 子ども / 情報処理 / NIRS |
Research Abstract |
i.自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder:ASD}の子どもの実行機能(Executive function:EF)障害と弱い中枢性統合(Weak central coherence:WCC)に関連する認知特性の解明 ・保護者の同意を得られたASDと定型発達の子どもについて、心理検査(DN-CAS)の実施、およびEF課題、WCC課題実施時のNIRSの測定を行った。DN-CASの結果については解析し、ASD児の場合「注意」の得点が有意に低いことがわかった。結果については、発達神経心理学研究懇話会で発表するとともに、岡田・鳥居の論文として日本LD学会に投稿し査読中である。NIRSの結果について、9月の神経科学大会で、ASD児17名、定型発達児9名についての中間報告を行った。定型発達児は、人物がいる写真と、風景写真では前頭葉の活動に差が見られた。しかし、ASD児の反応は「各自がバラバラで、傾向がない」ということが特徴だった。これは、ASD児が定まった方略を用いていないことの反映であると考えられる。また、WCC課題に対するASD児の反応は、定型発達児に比較して「情報の統合」「細部への注目」「ステレオタイプの認識」「勝手なストーリー」といった点で有意差が見られた。その後、定型発達児の参加者を追加して解析を加えている。 ii.方略を使用できるようにするためのプログラムの検討 ・EF方略教育プログラム(Executive runction Strategy Education Program:EFSEP)とCC方略教育プログラム(Central Coherence Strategy Education Program:CSEP)を作成した。EFSEPは、シンボルを用いて意味的方略を強化するトレーニングである。CSEPは、写真を用いて、手順に従って人に注意を向け、人の活動を考えて場面の意味を考える方略を、トレーニングする。ASDの子ども16人に対して実施し、効果を検証するため2回目のDN-CASを実施した。結果については、今後解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ASD児と統制群としての定型発達児のデータはすでに取り終えた。解析を行っている段階まで進んでいる。中間報告としての学会発表や、これまでの成果を論文としてまとめて投稿することも行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
解析を行い、ASD児の認知特性について明らかにしていく。結果については、可能な限り英文雑誌への投稿を目指したい。 EFSEPとCSEPについては、解析終了後、改訂をくわえて最終版を作成する予定である。完成した最終版については、デジタルデータとして関係方面に配布予定である。予算的に可能であれば、紙ベースで作成したものを、親の会等を通じてASDの子どもたちに実際に使ってもらえるようにしたい、と考えている。
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Research Products
(2 results)