2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト・サル視覚系における表面材質情報の表現と変換過程
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22500248
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
郷田 直一 生理学研究所, 生体情報研究系, 助教 (30373195)
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Keywords | 視覚 / 認知科学 / 神経科学 / 質感 / fMRI / テクスチャ |
Research Abstract |
本研究は、我々の優れた視覚的な材質認識の能力が脳のどのようなネットワークの働きによって実現されているのかを明らかにすることを目的とする。前年度においては、ヒト被験者を対象として金属や布などの材質カテゴリの情報を表現していると考えられる複数の脳領域を絞り込むとともに、それら様々な脳領域の活動について、各材質カテゴリ間の関係(類似度)を求め、材質カテゴリ間の知覚的な関係とどのように対応しているかを明らかにした。本年度においては、ヒトの実験で用いたものと同一の視覚刺激(形状がコントロールされた様々な材質の物体CG画像)を用いて、2頭のサルについてfMRI実験を開始した。現在、サルの様々な脳領域における素材情報の表現、及びヒトの様々な脳領域との対応と違いについて、解析を進めている。また、より多様な視覚刺激を用いてfMRI実験を行うため、新たに様々な素材の実物体刺激を準備した。さらに、材質認識のための重要な手がかりの一つと考えられる表面光沢の知覚について明らかにすることを目的とし、サルのfMRI実験及びデータ解析を行った。光沢に関する情報が脳のどのようなネットワークにおいて処理されるかを明らかにした研究は国内外においてこれまで報告されていない。実験の結果、光沢刺激に対する強い活動はサルの低次視覚野から高次視覚野にかけて広くみられること、特に高次視覚野の中では後部下側頭皮質の比較的限局した位置に強い活動がみられることが明らかになった。これらのネットワークにおいて光沢に関する視覚情報が処理されると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、新たなfMRI実験を開始しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、本年度に行った実験と、24年度に行う実験のデータ解析を進め、結果をまとめる予定である。
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Research Products
(14 results)