2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500249
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
関 陽子 科学警察研究所, 法科学第四部, 部付主任研究官 (10356157)
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Keywords | 筆跡鑑定 / 注視点解析 / 認知科学 / 法科学 / 署名 |
Research Abstract |
筆跡鑑定の目的で筆跡を観察しているときの注視点を解析することにより、鑑定人が用いる方略を明らかにすることを目的として研究を行った。 平成23年度は、実験時に被験者に呈示する刺激の選定,刺激の再作成と刺激呈示方法の検討および筆跡鑑定を職業とする者を被験者にして実験を行った。 刺激の作成:平成22年度に呈示に使用する刺激を選定し,刺激試料を採取したが,記載枠中に署名以外の文字を記載する欄があった.署名を記載する際の配字に影響を与える可能性が考えられたことから,記載欄を作成しなおして,呈示刺激用筆跡を再収集した.刺激用筆跡には16名の筆者に名字2文字+名前2文字からなる同一の氏名を書かせたものを用いた.収集した筆跡を画像取得し,呈示用刺激を作成した.次に,作成した刺激を用いて予備実験を行った.その結果,測定機器の解像度が予想より低く,視線の動きを正確に測定できないことがわかった.また,装置の刺激呈示機能が不十分であったため,当初予定していた方法では刺激呈示ができないこともわかった.これらの問題を解決するため,呈示刺激の画像サイズ変更,刺激呈示用ソフトウェアの機能調査,大型ディスプレイの使用などを試み,現有測定機材で予定していた視線測定が可能になるように調整した.この結果,当初予定した解像度での測定は不可能であったが,予定した解像度に近い精度で測定が行えることがわかった.刺激呈示については,当初予定していた刺激提示方法が可能であったが,データ処理に手作業が必要になることがわかった. 実験:筆跡鑑定を職業とする者を被験者として筆跡鑑定を目的として筆跡を鑑定したときの視線の動き,視線の停留箇所および停留時間を測定した.その結果,筆跡の形態以外の文字間隔や文字の書き出し位置などに注目していることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
測定装置の性能が当初の予想より低かったため,刺激提示用機材や刺激提示方法などを変更する必要があり,機材や方法を考案するのに予想以上の時間がかかった.また,刺激提示機材や刺激提示方法などの変更により,実験内容も変更の必要があったため.
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Strategy for Future Research Activity |
筆跡鑑定を職業としない者を被験者として23年度と同様の実験を行い,両者の結果を比較する.比較結果をもとに,筆跡鑑定を職業としている者には,鑑定の特殊なスキルがあるかどうかを検討する.また,結果を学会で発表する.
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