2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500256
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福嶋 雅夫 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30089114)
|
Keywords | 相補性 / 最適化問題 / 均衡問題 / ゲーム理論 / 変分不等式 / 確率的相補性問題 / 均衡制約付き最適化問題 |
Research Abstract |
相補性は最適化・数理計画における最も基本的な概念のひとつである.相補性とは,一般的には,ベクトル空間の自己双対な閉凸錐に含まれる2つのベクトルが直交することを意味するが,そのような性質は最適化問題の最適性条件やさまざまな均衡問題の定式化において本質的に重要な役割を果たすものであり,これまで様々な角度から研究されてきた.本研究の目的は,相補性の概念を中心軸に,密接に関連する変分不等式など各種の均衡問題・最適化問題に対して堅固な理論的基盤に立脚した実用的な手法を開発することにより,最適化理論の応用領域の拡大に寄与することである.今年度に発表した研究成果は以下のとおりである. 不確実な状況を考慮した均衡問題,および均衡制約つき最適化問題が近年注目を集めており,本研究者らは特に確率的相補性問題および確率的均衡制約最適化問題の研究において中心的な役割を果たしている.今回,この分野における最近の研究成果についてサーベイを行い,その結果を発表した.次に,ゲーム理論における古典的な問題であるナッシュ均衡問題を拡張した一般化ナッシュ均衡問題を取り扱った.まず,一般化ナッシュ均衡問題を準変分不等式に再定式化し,さらにそれをギャップ関数と呼ばれる関数を用いて最適化問題に変換することにより均衡解を計算する手法を開発した.半正定値錐や2次錐などを拡張した対称錐の概念に基づく相補性条件を制約に含む数理計画問題に対して,相補性条件を平滑化関数とよばれる関数を用いて滑らかな非線形等式制約条件で近似することにより最適解を計算する手法を開発した.さらに,固有値相補性問題に対する最適化アプローチや一般化ナッシュ均衡問題の解を効率的かつ安定的に計算する方法についても成果を得ている.
|
Research Products
(4 results)