2010 Fiscal Year Annual Research Report
確率過程に対する統計的漸近理論と損害保険数理への応用
Project/Area Number |
22500258
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
阪本 雄二 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70215664)
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Keywords | 状態空間モデル / フィルタリング / 漸近展開 / 保険数理モデル |
Research Abstract |
状態空間モデルに対する予測・平滑化に関する時系列解析手法に関して,(1)調査研究と(2)フィルタリング精度と(3)推定問題の検証を行った. (1)モデルが線形で正規性を持つ時は,カルマンフィルタによるフィルタリングが確立されていて,その応用として最尤推定量を求めるアルゴリズムが得られていることが分かった.非線形で非正規の場合はモンテカルロフィルタが有効な手段として期待されるが,フィルタリング精度と推定問題における最適化に安定性が認められず,発展途上の手法であることが分かった. (2)フィルタリングの精度に関して数値実験を行った.モデルが線形であれば,ノイズが正規性を持たなくてもカルマンフィルタは高い予測精度を持つことが分かった.何らかの意味で中心極限定理が機能しているものと予想される.また,モデルが非線形でノイズが非正規の場合には,モンテカルロフィルタが高い予測精度を持つことが分かった. (3)最尤法による推定量の精度に関して数値実験を行った.母数が1次元の時は,カルマンフィルタによる最尤推定量は漸近的に不偏性を持つことが分かったが,誤差分散の推定量は大きな分散を持ち推定精度が悪いことが分かった.母数が2次元以上の時は,尤度の最大化プロセスにおいて微分情報が利用できないことが問題となり,推定量が極めて不安定になることが分かった.また,モンテカルロフィルタによる最尤推定量は,尤度のモンテカルロ近似が不安定であるため,求まらないことが多いことが分かった.最大化プロセスの各ステップで同一の乱数を用いることで,その問題を解決できることが分かったが,母数が2次元以上になると,やはり不安定であった. 以上の結果より,連続時間確率過程を用いた保険数理モデルの推定問題の漸近安定性の研究を進めることにした.
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