Research Abstract |
本研究では,最近の多変量データ分析の理論と応用の両面における最近の重要課題ついて研究することを目的にしている.とくに,「数量化法の推測問題」,「モデル選択問題」,「経時データ分析問題」、「多変量非線形問題」,「高次元問題」に関する問題を取り上げる.以下,主要な成果のいくつかをリストする.1.経時データ分析問題に関連して,ランダム係数モデルにおける線形仮説の検定統計量の高次元漸近分布を導出した.この結果より,観測時点が大きい場合にも適用できる検定法が可能になった(JCISSに掲載).2.通常のMANOVAモデルにおいては,プロファイル分析法が発展しているが,これらの手法を成長曲線モデルに拡張した(JUTに掲載).3.モデル選択規準は,リスクの推定量として構成されるが,その際バイアス項を減らすことが重要になる.cross-validation規準の高次バイアス補正を,バイアスの漸近展開式を使用することなく,leave-one-out cross-validationからleave-k-out cross-validationまでの線形和により構成した(SJSに掲載).4.著書を2冊出版しているが,そのうちの1つは多変量モデルの選択問題を扱っている.多変量解析に用いられる手法には,どの変数を用いればよいか,主成分や判別変数などの変換変数をいくつ用いればよいかの問題がある.これらの問題に対して,モデル選択規準を用いる方法を統一的に解説している.このような本は,他になく,また,多くの応用例も載せている,もう一つの本では,Rを用いた環境データ分析を,実例をあげながた紹介している.特に,成長曲線モデルやモデル選択に重点を置いた内容となっている.5.この他,学会や国際研究集会において発表した結果,準備中の論文,投稿中の論文が多くある.これらの中には,AICなどのモデル選択規準が高次元の枠組みのもとで一致性をもつことを示した結果もある.また,高次元のための情報量規準を導出している.これらは高次元問題における新たな発展の契機になる結果である.
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