2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22500269
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
藤澤 洋徳 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (00301177)
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Keywords | 遺伝子発現差解析 / 有意性検定 / P値 |
Research Abstract |
これまでに,通常に行われる平均の同等性検定に関しては,様々な結果を得られた.他の遺伝子のデータをうまく援用してP値を妥当に推定するための条件を数理的に整理できた.その条件のもとでの最適な検定も導出できた.過去の議論はすべてアドホックであったので,この成果は非常に有意義であった.この分野に完全に新しい枠組みを提示できた.その検定方法は,過去にアドホックに提案されている検定よりも,ある意味で検出力が高いことも証明できた.数値実験でも,P値推定としての安定性と,検出力の大きさが,過去の手法に比べて,単に優れているというレベルではなく,劇的に優れていることが検証できた.実際のデータ解析でも導出した手法の優位性は明らかとなった.ここまでは非常にうまく行った. その話の延長として分散の同等性検定に関してもチャレンジしている.分散の検定は,平均の検定のように理論がきれいに進まないことが多く,非常にチャレンジングであると考えている.その話題に対処しようと思った動機は遺伝研究所から分散の同等性に関連した話題を持ち込まれたからである.難しい問題にチャレンジしようとするモチベーションが高い. 他の遺伝子のデータをうまく援用してP値を妥当に推定できる検定統計量については幾つか思い付いた.その方法の妥当性もある程度は確認できた.しかし,それを統一的に扱うという問題が,なかなかきれいにクリアできていない.この問題を次年度も引き続いてあらためてトライしたいと考えている.遺伝研究所から,きちんとしたデータも頂いたので,そのデータを解析しつつ,新しい方向性をも模索した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平均の同等性に関する部分については当初の予想以上にきれいな成果が得られた.これは特筆に値する.ただし,次の目的とした分散の同等性の検定に関しては,大きな進展はない.これは研究計画時からチャレンジングな問題として認識しており現状での停滞は予想したことである.今年度は試行錯誤の段階であり,それによって見えたものをどこまで整理できるかが,最終年度の課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
分散の同等性の検定は通常の設定でも難しい.他の遺伝子のデータを援用するという枠組みをどのような統一的観点から扱うかである.現在までは,平均の同等性の検定と同一の観点から考えていたが,今後は違う観点の模索も行いたい.さらに,検定としての良さに関しても,平均と違って,一様最強力不偏検定ではなく,局所最強力検定などの違う観点も考慮に入れたい.
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Research Products
(6 results)