2010 Fiscal Year Annual Research Report
量子化学計算を用いたグルコース環構造変換過程の網羅的解明とセルラーゼの分子設計
Project/Area Number |
22500272
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
上田 一義 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (40223458)
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Keywords | コンピュータシミュレーション / 環変換 / グルコース |
Research Abstract |
本研究は、グルコースの環構造変換過程の全貌を、量子化学的計算手法を用いて明らかにすることを目的とするものである。この研究は糖の中で最もポピュラーなグルコースについて、未だに明確でないグルコース環の立体配座について定量的に明らかにするもので、糖化学の最も基本的な基礎情報を与えるものとして学術的に重要であるのみならず、実用的にも低炭素化社会実現に向けてのグリーンエネルギーの実用化研究の一つである、セルロースを酵素分解してエネルギー資源として利用する際の酵素設計や反応の効率化等を図る上で重要である。今年度は平成22年度の研究計画に基づき、グルコースの最も典型的な環構造である^4C_1から"ねじれ配座"に至る網羅的な環変換経路を探索した。これまでに^4C_1からねじれ配座のBやSに至る3本の環変換過程を得ているが、その他の経路についてはまだ探索中である。これまでの中間結果では、他の変換過程は前回の経路に比べエネルギー値が高いという予想となっている。^4C_1からの全経路探索に並行して、"ねじれ構造"についての系統的なエネルギー値の計算とその環変換過程の探索も進めている。さらに、平成23年度の研究計画にある、ねじれ配座からもう一つのイス型構造である^1C_4に至る経路とその構造についても検討を開始した。これらについては、遷移状態におけるエネルギー障壁の高さについて探索を進めており、これまでに^1C_4から^0S_2に到る経路と、その遷移状態を見出すことに成功している。今後は、前回見出した^4C_1から^2S_0に到る経路と、今回の^1C_4から^0S_2に到る経路とを結ぶ経路についても探索を進める予定である。
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Research Products
(10 results)