2012 Fiscal Year Annual Research Report
量子化学計算を用いたグルコース環構造変換過程の網羅的解明とセルラーゼの分子設計
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22500272
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
上田 一義 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (40223458)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | コンピュータシミュレーション / 環変換 / グルコース |
Research Abstract |
本研究は、グルコースの環構造変換過程の全貌を、量子化学的計算手法を用いて明らかにすることを目的とするものである。この研究は糖の中で最もポピュラーなグルコースについて、未だに明確でないグルコース環の立体配座について定量的に明らかにするもので、糖化学の最も基本的な基礎情報を与えるものとして学術的に重要であるのみならず、実用的にも低炭素化社会実現に向けてのグリーンエネルギーの実用化研究の一つである、セルロースを酵素分解してエネルギー資源として利用する際の酵素設計や反応の効率化等を図る上で重要である。 今年度は研究計画の最終年度としてこれまでの研究の総括を行った。グルコースの環変換過程はClemer-Popleにより地球儀状に表記されているが、そのClemer-Pople図の北半球部分から南半球部分における環変換過程について多数の経路を見出すことが出来た。すなわち、グルコースの環変換過程について3年間の研究で北極部に相当するイス型4C1構造からねじれ配座を経て、南極部のイス型構造である1C4に至る多くの経路と構造及びその遷移状態におけるエネルギー障壁の高さなどを求めることが出来た。また、環の配座転移は4C1から“ねじれ配座“に至る環変換経路のみではなく、“ねじれ配座“間の転移も見出した。Clemer-Pople図で説明すると、φ=180のB3,oから、赤道面を通ってφ=210の1S3へ至るような経路であり、これらを総合してグルコース環変換の主要な経路を見出すことが出来た。 このような変換経路の情報を実用的な課題へと発展させる試みとして、セルラーゼ酵素に基質として捕えられたグルコースの構造と今回求めた遷移状態の構造との関係解明を海外共同研究者であるコーネル大学のProf. Bradyとの協力で継続していく。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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