2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子種間変動を扱う階層モデルとその正則化による蛋白質立体構造の比較解析
Project/Area Number |
22500275
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
網崎 孝志 鳥取大学, 医学部, 教授 (20231996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 伸一 鳥取大学, 医学部, 助教 (00362880)
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Keywords | 生体生命情報学 / 統計数学 / 生体分子 / 蛋白質 |
Research Abstract |
構造バイオインフォマティクスの代表的テーマに、蛋白質の重ね合わせによる立体構造比較がある。二つの立体構造を比較する場合には、一方に回転と並進操作を施し、もう一方に重ねあわせ、対応する原子間のズレをもって類似度を測ることがおこなわれる。最近では、十個程度以上の立体構造を重ねあわせることも行われる。本研究は、複数の分子種の各々に比較的多数の立体構造が得られている場合に、それらを同時に重ねあわせ、分子種ごとの構造上の特徴を浮かび上がらせるような解析法を開発することを目的としている。具体的には、複数の蛋白質の立体構造の比較において、混合効果モデルに正則化による変数選択法を組み入れた解析法を開発することを目標とし、対象とするデータは、分子動力学シミュレーションのトラジェクトリデータなどを想定している。今年度は、分子種間変動(分子種に固有のズレ)とランダムな分子種内変動のそれぞれを扱うための方法論の検討を行ったが、公開に足りる成果は得られていない。ただし、複数の分子種の立体構造比較のための混合効果モデルの枠組みを検討し、重ね合わせに必要な回転行列の表式を導出した。また、その特異値分解によるプロタイププログラムを製作した。本研究で開発する手法の有効性の検証は、最終年度に行う予定であるが、種々の要因、特に、分子種間変動の大きさが有効性に影響を与えることが予想される。変動を分子種間と分子種内に分けて扱う方法論は、これまでに存在しないことから、検証用データの用意にも配慮が必要である。今年度は、酸化GTP分解酵素のプロトネーションが異なる分子種のトラジェクトリデータを分子動力学シミュレーションにより発生させ、クラスタ分析等により変動の大きさの推定作業を行った。
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