2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子種間変動を扱う階層モデルとその正則化による蛋白質立体構造の比較解析
Project/Area Number |
22500275
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
網崎 孝志 鳥取大学, 医学部, 教授 (20231996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 伸一 鳥取大学, 医学部, 講師 (00362880)
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Keywords | 生体生命情報学 / 統計数学 / 生体分子 / 蛋白質 |
Research Abstract |
蛋白質の立体構造の比較は、二つの蛋白質の一方に並進と回転を施してもう一方に重ね合せ、ズレの具合いを調べるのが基本である。分子動力学シュミュレーションやNMR構造では多数の構造が得られるため、多数の構造の同時重ね合せの必要が生じてきた。この場合でも、通常は、等分散を仮定した最小二乗法が用いられているが、最近では、より精密に、異分散性を何らかの手段で考慮に入れることも提案されている。本研究では、これをさらに進めて、複数の蛋白質の各々複数の構造の同時重ね合せを実現するまったく新規な手法の開発を目標としている。今年度は、当面実現可能な方法の理論面での設計がほぼ完了した。その特徴は、各々の蛋白質の特徴的ズレを表す確率変数(分子別変動)と末端部やループ部で大きなゆらぎを説明するための誤差変動から成る混合効果モデルを用いることだが、今年度の成果は、(1)分子別変動の共分散をクロネッカー積で表し、変数選択を原子単位で行えるようにしたこと、(2)誤差変動には変数選択を行わず、標本共分散の縮小で対処し、分子別変動の効果的な推定を図ったこと、(3)早期の実現を目指すため、分子別変動共分散を、当面、対角としたが、このため、変数選択の数値手法に、単純な二次計画法が利用できるようになったことなどである。これらは、いずれも、本質を損なわない範囲で定式化を単純化したものと思われる。プログラムの実現には至っていないが、一部、検証用データ作成のためのプログラムのプロトタイプを作成した。分子別変動の共分散については、対角でない場合にも、コレスキー分解を利用する手法も用意したが、来年度については、まず、対角行列について、実現を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度当初計画の(1)分子種によらない変動のモデル化を検討する、(2)蛋白質分子種によるズレ(変量効果)に対する変数選択法を検討するについては、理論面では達成しているため計画通りであるが、プログラム作成には至っていない。もうひとつの(3)有効性検証のための「正解」の制作と検証用データの発生については、プロトタイプを作成したものの、まだ十分ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、解析プログラムの実現とその実証実験(数値シミュレーション)を行う。当面、分子別変動の共分散に対角行列を仮定するため、偏相関係数の推定手続きが不要になり、また、変数選択のアルゴリズムが単純化されるため、平成24年度内に目標を達成することが可能と思われる。
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Research Products
(1 results)