Research Abstract |
糖鎖残基間の相互作用の解析を,7種類の糖鎖系列に対し分子動力学法を用いて分子シミュレーションを行った.得られた計算機結果に対し,各系列における1-2残基間,2-3残基間および3-4残基間の二面角で求めたラマチャンドランプロットから,系列ごとで比較し,分布領域が異なる構造の比較を行った.その結果,糖鎖コンホメーションを変化させる要因として次の3つのことが考えられた.(1)α,β結合の違いにより,アノマー配置が変わることでφ角が変化した.(2)Fucの結合により,結合位置が2位であることが大きく構造変化に影響した.(3)糖鎖結合位置が,4位よりも3位で結合した方が残基間で相互作用が起きやすく,二面角のゆらぎが大きくなる.また,これらの要因は脊椎動物に存在するGlobo系列,Isoglobo系列,Lacto系列,およびGanglio系列で顕著に確認できた 実験的検証については,まずは新規糖鎖を見出すという位置付けで,節足動物ブラインシュリンプに対し,構造決定を進めた.その結果,節足動物に共通なArthro系糖脂質の存在に加え,非Arthro系の糖脂質としてnAtCTS : Fucα3Manβ4GlcβCer, nAtCTeS : GlcNAcα2Fucα3Manβ4GlcβCerを同定した.ブラインシュリンプ耐久卵が原腸胚期で発生を停止した休眠卵であることを考えると,フコシル化LacdiNAcの発生および細胞接着への関与が推測された
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