2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腕の運動生成のモデル化とそれを利用した新しい手話翻訳法の研究
Project/Area Number |
22500278
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
福村 直博 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90293753)
|
Keywords | ヒト腕運動 / 躍度最小軌道 / 経由点 / ジェスチャー / 手話単語翻訳 / 見真似運動学習 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、手話単語を表す運動を、経由点を含む躍度最小軌道によって近似したときの経由点を手話運動の特徴点とみなして手話翻訳を行う手法を検討した。新たに経由点の数および経由点探索の初期位置を計測軌道の曲率ピークの数及びその位置とする方法を提案し、より効率的に経由点の探索と単語翻訳が可能になった。また、経由点の数を抑制するために経由点の位置と速度を拘束条件とする場合を検証するために、手話と同様に身振りコミュニケーションの一種であるオーケストラの指揮運動の解析に適用した。経由点の位置だけ、または位置と速度を拘束条件として1拍子の指揮運動を近似する躍度最小軌道を求めた。その結果、速度を拘束条件に含めた場合には少ない経由点でよりよく近似できた上に、抽出された経由点は指揮運動でリズムを表す、手先が最下点になる位置に抽出され、速度を含んだ経由点の表現形態の有効性が示唆された。しかし、指揮運動は運動周期が決まった運動であるため速度が指定されることは不自然でないのに対し、手話を含めた一般の運動では運動時間が決まっていないため、経由点を通過する速さまで拘束されるとは考えにくい。そのため、経由点の位置とその位置での運動方向のみを拘束条件とした躍度最小軌道の理論軌道を導出し、ヒトにも同じ条件を指定した運動を行わせて比較した。その結果、理論軌道と計測軌道は一致せず、このような経由点情報での躍度最小軌道によるヒト腕運動の表現が難しいことが示唆された。また、この経由点情報による運動表現の別の応用として、宮本らの先行研究を参考にロボットへの運動教示に用いることを検討した。手本となるヒトの運動とロボットの運動を経由点付きの躍度最小軌道を用いて近似し、ヒトの軌道における各パラメータとタスクパフォーマンスとの関係がロボットにも適応できると仮定してロボットのパラメータを修正する手法を提案した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手話翻訳については経由点抽出のアルゴリズムをほぼ確立し、この手法が精度、計算量の両面から極めて有効であることを示すことができ、現在論文の投稿を準備中である。また、ヒト腕運動を経由点付きの躍度最小軌道で表現する場合の拘束条件の与え方については、経由点の位置及び速度で表現する手法の検証がほぼ終わり、情報抽出の方法の検討を開始している。
|
Strategy for Future Research Activity |
経由点の情報として速度を指定する場合については、手話などの一般の運動においては運動時間が決まっていないため、正規化の手法が必要になる。まずは全体の運動時間による正規化で対処可能であると考えている。また、経由点位置の抽出においても曲率ピークとは異なる、経由点の初期位置の設定方法を検討する必要がある。これらは、理論軌道から導出される経由点での特徴を解析すうことで理論的に導出した上で、計測軌道で検証する。さらに手話翻訳システムに関しては、構築した左手や指形状も同時に計測する実験システムを利用してより多くの単語運動を計測し、運動の終点や経由点での手指形状データを用いることで翻訳精度の検証を行う。
|