2011 Fiscal Year Annual Research Report
セロトニン2A受容体を介するストレス応答性シナプス修飾機構の研究
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22500285
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
大倉 正道 埼玉大学, 脳科学融合研究センター, 准教授 (70369172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 淳一 埼玉大学, 脳科学融合研究センター, 教授 (80237198)
安藤 恵子 埼玉大学, 脳科学融合研究センター, 特任准教授 (40221741)
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Keywords | 神経活動 / シナプス / カルシウムシグナル / 蛍光イメージング / G-CaMP |
Research Abstract |
過剰なストレスは、ストレスホルモンの過剰分泌を伴い最終的には欝病等の精神疾患の発症を招くが、その分子機構は良くわかっていない。この研究は、ストレスから欝病に至る分子機構の解明を目指すものである。特に欝病との関連が深い中枢のセロトニン2A(5-HT_<2A>)受容体に注目し、線虫や哺乳動物の神経系へのストレス負荷に応じた5-HT_<2A>受容体細胞膜発現レベルの変化と中枢シナプス特性変化の関係を重点的に解析することを目的としている。23年度は前年度に引き続き、受容体の発現制御蛋白質の各種遺伝子改変線虫株の作出、蛍光標識体の作製を行った。またストレスによるシナプス修飾を理解するためにシナプス前・後の神経細胞活動を個別に可視化して分子生理学的に解析する必要があるため、昨年度開発した改良G-CaMP(細胞内カルシウムイオン濃度の上昇に応答して緑色蛍光強度が増大する)と異なる波長特性を示す蛍光カルシウムプローブ蛋白質R-CaMP(細胞内カルシウムイオン濃度の上昇に応答して赤色蛍光強度が増大する)を新たに作製した。R-CaMPは、改良G-CaMPと同程度に高いカルシウム感受性を有しており、マウスの海馬スライスを用いた電気生理学的実験において1発の活動電位に応答した蛍光強度の増大が見られることを確認した。R-CaMPと改良G-CaMPの励起及び蛍光波長はほとんど重複しないため、R-CaMPと改良G-CaMPを用いてシナプス前・後の神経活動性を異なる2波長で測定することが可能となった。また5-HT合成酵素(tph-1)を欠失した線虫株の5-HT作動性神経活動を検討し、5-HT作動性神経活動の阻害による筋活動への影響を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種遺伝子改変線虫株の作出、蛍光標識体の作製が順調に進んでおり、シナプス特性変化の解析用プローブも開発できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまでの研究実績に基づき、ストレスシグナルで5-HT_<2A>受容体発現神経のシナプス活動性がどう変化するのかを解析する。
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