2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着分子ネクチンとアファディンによるシナプス形成機構
Project/Area Number |
22500293
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
富樫 英 神戸大学, 医学研究科, 助教 (90415240)
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Keywords | シナプス形成 / 細胞接着 / ネクチン / アファディン |
Research Abstract |
シナプスは神経伝達の行われる部位であり、記憶に密接に関連して可塑的な変化の起こる接着構造である。申請者はシナプス形成における細胞接着分子カドヘリンの重要性を世界に先駆けて示し、さらに軸索・樹状突起間の識別に細胞接着分子ネクチンがカドヘリンとともに必須であることを解明した。ネクチンの裏打ち分子であるアファディンのノックアウトマウスを作製したところ、シナプス形成が顕著に減少していた。しかし、アファディンがシナプスの形成と維持、さらに記憶の形成にどのように関わるのかはいまだ不明である。そこで本年度は、シナプス形成時におけるアファディンによる細胞間接着の制御機構と、シナプスの維持や記憶の形成に果たすアファディンの役割と作用機序を明らかにする目的で、アファディンの遺伝子改変マウスより海馬初代培養細胞を作製した。これらの神経細胞では軸索と樹状突起間の接触が減少し、正常なシナプスが形成されなかった。また、形成された多くのシナプスでは形態の異常を示した。そこで、アファディンが軸索と樹状突起の認識および接着制御にどのように関与しているのかを明らかにする目的で、アファディンをノックアウトした培養神経細胞をGFP等の蛍光タンパクで標識し、顕微鏡下で経時的に観察したところ、アファディンをノックアウトした細胞では軸索と樹状突起が出会っても互いにすれ違うか、成長円錐と樹状突起が接触したまま軸索伸長が停止しているものが多数見られ、軸索が樹状突起に沿って走行する例が極端に減少していた。これらの実験結果は、ネクチン-アファディン系は軸索と樹状突起を認識し、神経突起間の適切な相互作用を保ちながら軸索の伸長と誘導を行うために必須であることを示している。
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