2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500299
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
武藤 彩 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助教 (00525991)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / カルシウムイメージング / 光遺伝学 / 行動学 / 画像解析 / 眼球運動 / 視覚系 / 視覚系 |
Research Abstract |
本研究はゼブラフィッシュ稚魚をモデル生物として用いて、脳機能を可視化し、また光遺伝学的手法を用いて神経細胞の活動性を人為的に制御することにより機能的神経回路が動物行動を作り出すメカニズムを明らかにすることを目的としている。 本年度は、神経細胞の人為的抑制に必要なNpHR3.0(従来のNpHRの改良型)の遺伝子導入、改良型GCaMR,ChRdWRに関して複数得られている系統の中から効果が強い系統のスクリーニングを行った。特に、GCaM系統を用いて捕獲行動中のゼブラフィッシュ稚魚の脳機能イメージングを行い、中脳視蓋領域において特定の部域の活動性と捕獲行動とが相関することを明らかにした。行動中の脳機能イメージングは、イメージング中に対象物が動くと画像解析が困難になり、逆に対象物を動けなくすると行動を観察できないというジレンマが存在する。これを解決する手段として、稚魚胴体の一部をアガロース中に固定し、眼球と尾部は自由に動ける状態でのイメージングシステムを構築した。この結果、眼球運動と尾部の運動を捕獲行動の指標として脳機能イメージングを再現性良く行うことができるようになり、今後、行動中の脳の活動部位を探索するための準備ができた。さらに、捕獲行動が複数の神経プロセスから成り立つことを行動学的に解析できるようにするため、定量的行動記録装置の開発を行った。これにより、ゼブラフィッシュ稚魚の視界に小物体が現れた後に、稚魚が外界の物体を定位し、捕獲行動を示すまでをビデオ撮影し、画像解析の手法を用いて自動的に捕獲行動のパラメーター(遊泳速度、小物体との距離、角度、眼球運動)を算出し、それらのパラメーターの組み合わせとして捕獲行動の各ステップを記述できるようにするための準備が整った。これにより、今後光遺伝学的手法により神経細胞の活動性を人為的に制御した際における捕獲行動の変化を定量的に解析する道筋が開けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、脳機能プローブ(GCaMP)、光遺伝学ツールの遺伝子導入ゼブラフィッシュの作製が第一段階であるが、高い遺伝子発現を示す系統のスクリーニングが予想外に難航したため。
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Strategy for Future Research Activity |
中脳視蓋、前脳、後脳など脳部域特異的なGAL4系統とGCaMPを組み合わせてカルシウムイメージングを行い、捕獲行動に関与する神経細胞を同定する。その後、神経細胞活性の人為的亢進と抑制を行うことによりその細胞の役割の必要十分条件に関して検討を行う。
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