2011 Fiscal Year Annual Research Report
扁桃体依存性学習・記憶のメカニズムにおけるカルモジュリンキナーゼIIの役割
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22500301
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
山肩 葉子 生理学研究所, 生体情報研究系, 助教 (20210338)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 生理学 / 学習・記憶 / 蛋白質リン酸化 |
Research Abstract |
恐怖条件付けに代表される扁桃体依存性の学習・記憶は、哺乳動物が身の回りの危険を察知し、回避するという、生存して行く上で非常に重要な学習機能である。また、この学習機能の異常がヒトの心的外傷後ストレス障害(PTSD)と関係することから、そのメカニズムの解明は、今日の神経科学における重要な課題の一つである。本研究においては、キナーゼ活性を欠損させたカルモジュリンキナーゼII遺伝子改変マウスを用いて、扁桃体依存性の学習・記憶のメカニズムを明らかにしようとしている。本年度においては、マウスが自分の意思で行動した結果、フットショックを受け、その場所情報とフットショックとを関連づけることが必要な、受動的回避反応学習を取り上げ、その解析を行った。その結果、この遺伝子改変マウスにおいては、1回の刺激では全く学習が成立しなかったが、繰り返し刺激では、一部学習が成立したような結果が観察された。このような状態となったマウスを全く異なる環境下においたところ、恐怖反応の指標である「freezing」の増大を示した。一方、この異なる環境下での「freezing」は、その環境下に繰り返し置くことにより、消失した。これらの結果は、フットショックが起こった場所の認識ができないという海馬機能の強い障害を示すとともに、繰り返し刺激に対しては、恐怖反応の全般化が出現するが、それが持続するものではなく、容易に消去されることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験を進め、相応の成果を挙げているため。
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Strategy for Future Research Activity |
扁桃体依存性の学習・記憶についてさらに理解を深めるために、研究計画にのっとり、学習獲得後の記憶の保持に重点を置いて解析を進める予定である。
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Research Products
(6 results)