2011 Fiscal Year Annual Research Report
電子スプレーで生細胞にあらゆるナノ分子を定量的・非損傷的に注入する技術の開発
Project/Area Number |
22500302
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
ヴィゴ レジャン 独立行政法人理化学研究所, Launey研究ユニット, 研究員 (20470304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAUNEY Thomas 独立行政法人理化学研究所, Launey研究ユニット, ユニットリーダー (30322704)
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Keywords | ナノバイオ / 脳神経疾患 / 先端機能デバイス |
Research Abstract |
エレクトロスプレー(=「ナノスナイパー」、以下「本機」)の仕様には、以下の2つの課題がある。 (1)内外2本のピペットを精確に配置する(粒子の照射範囲に向けた効率的かつ精確な流れを可能にするため) (2)外側ピペット外部の細胞培養液がピペット内部に入らないようにする(ショートを避けるため) これらの課題を解決するためには、問題がどのような原因によって生じているのかを特定する必要がある。そこで本年度は、実験によるフィードバックに基づくCADモデルを作成、シミュレーションを行って、本機内部と周辺の電場の様相について手がかりとなる情報を得ようと試みた。このシミュレーションによれば、電場の強度は、内側ピペット先端周辺では非常に高く(300megaV/m)、外側ピペットの先端付近では急激に減少していた。また、外側ピペットの開口部においては、電場の力は中心部においてより高く、周辺部(=外側ピペット内壁付近)ではゼロであった。これらのシミュレーションが正しいと仮定すると、本機にかかる電場の強度そのものは、本機開口部直下にある細胞培養液を必然的にピペット内部に引き込むほどには大きくないと考えられる。この考察から、本来親水性であるガラスの表面に、何らかの疎水性コーティングを施す等の適切な工夫を加えることにより、細胞培養液のピペット内への取り込み=ショートのリスクを軽減することは可能であると結論することができた((2))。また、内外ピペットの配置をより容易にするための手段として、外側ピペットの開口部をより大きくすることが可能であると結論することができた((1))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
- 内側のピペットの先端を外側のピペットの開口部に対して精確に配置することが非常に困難である。 - ピペット外部の培養液とピペット内部のコンパートメントの水/空気の境面が不安定である(細胞培養液がピペット内部に入り込み、ショートしてしまうことがある)。
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Strategy for Future Research Activity |
以下のような新しい仕様の電極を導入する。 - 外側ピペットの開口部を大きくする。(=>内外ピペットのアラインメントがより容易になる) - 外側ピペットの先端部内壁にかかる電荷を大きくする。(=>強い電場を作ることにより、電子をより狭い範囲に向けて直進させることが可能になる) - 不活性ガスを内外ピペットの間に連続的に流す。(=)導入粒子の流れを促進する。標的細胞をおおう培養液表面にくぼみを作ることにより、ピペット先端と細胞の距離を縮める。)
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