2010 Fiscal Year Annual Research Report
高次嗅覚中枢における匂い情報コーディング様式の解明
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22500303
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮坂 信彦 独立行政法人理化学研究所, シナプス分子機構研究チーム, 副チームリーダー (70332335)
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Keywords | 嗅覚 / 神経回路 / 軸索 / 蛍光タンパク質 / ゼブラフィッシュ / 遺伝子工学 / 行動 / 可視化 |
Research Abstract |
嗅覚は、動物の生命活動(食物の探索、危険回避、繁殖、社会性コミュニケーションなど)に重要な役割を果たしている。匂い分子は鼻の奥に存在する嗅細胞によって受け取られ、その情報は軸索を介して脳の嗅球に送られる。嗅球には糸球体と呼ばれる機能ユニットが存在し、異なる匂いは異なる組み合わせの糸球体群を活性化する。すなわち、匂い情報は活性化した糸球体の空間配置情報(匂い地図)として嗅球上に表現される。匂いの種類に応じた様々な嗅覚行動の発現には、嗅球の「匂い地図」がさらに高次中枢で適切に読み取られる必要がある。本研究では、遺伝子工学的手法による生体イメージングに適したゼブラフィッシュを用いて、嗅球から高次嗅覚中枢への神経投射様式の解析を行った。我々はすでに、嗅球の背内側部糸球体クラスターに樹状突起を接続する投射ニューロンを蛍光タンパク質で可視化し、その軸索が終脳とともに、間脳の手綱核という神経核に投射することを明らかにした。本年度は、背内側部以外の糸球体クラスターと接続する嗅球ニューロンの軸索投射パターンを解析した。嗅球に発現するTbx21遺伝子の周辺ゲノム領域(約200kb)を含むBACクローンに対して、大腸菌内相同組換えによるGa14遺伝子の挿入を行った。作製した改変BACを用いて蛍光タンパク質を発現させ、主に背内側部以外の糸球体クラスター(前腹側部および背側部)と接続する嗅球ニューロンの可視化に成功した。これらのニューロンの軸索投射パターンを解析したところ、背内側部ニューロンと同様に終脳には投射するが、その多くは手綱核には投射せずに視床下部に投射することが明らかとなった。また、終脳への投射おいて、背内側部ニューロンと一部重複しながらも、異なる領域性が認められた。
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Research Products
(3 results)