2012 Fiscal Year Annual Research Report
高次嗅覚中枢における匂い情報コーディング様式の解明
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22500303
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮坂 信彦 独立行政法人理化学研究所, シナプス分子機構研究チーム, 副チームリーダー (70332335)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 嗅覚 / 神経回路 / 脳 / 遺伝子工学 / 蛍光タンパク質 / 行動 / ゼブラフィッシュ / 国際情報交換 |
Research Abstract |
一次嗅覚中枢である嗅球には、糸球体と呼ばれる機能ユニットが存在する。匂いの源から発せられた匂い分子は、末梢感覚ニューロンの軸索を介してそれぞれ異なる組み合わせの糸球体を発火させ、その情報は匂い分子の化学構造を基にした「匂い地図」として嗅球に投影される。一方、匂いの質に対応した特定の嗅覚行動を発現するためには、高次中枢が嗅球の匂い地図を適切に読み取って運動系に出力する必要がある。本研究では、遺伝子工学的手法による生体イメージングに適したゼブラフィッシュを用いて、嗅球から高次中枢への軸索投射パターンの解析を行った。 前年度までに、嗅球の各糸球体群に接続する投射ニューロンを単一細胞レベルで可視化することに成功し、個々の嗅球ニューロンが複数の高次脳部位に投射することを見いだした。今年度は多数の画像サンプルを取得し、三次元画像解析によって、主要な高次脳部位である終脳での軸索投射パターンについて詳細な解析を行った。異なる個体に由来する軸索軌跡を同一の座標軸上で解析するために、image registration法を用いて各ニューロンサンプルの軸索軌跡を標準脳画像上にマップした。軸索軌跡からニューロンのクラスター解析を行い、その結果をもとに三次元再構築を行うことで以下の知見を得た。1、後部終脳領域(主要嗅覚領域)は全ての糸球体群から広範囲に投射を受ける。2、後部終脳領域の中心部は異なる糸球体群から重複した投射を受ける。3、後部終脳領域の辺縁部は特定の糸球体群から特異的な投射を受ける。これらの結果から、終脳の嗅覚領域では、嗅球に表現された化学構造に基づく匂い地図の情報が統合・抽出され、匂いの質を表現する新たな嗅覚情報として再編されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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