2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500306
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
石 龍徳 東京医科大学, 医学部, 教授 (20175417)
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Keywords | 海馬 / 胎生期 / ニューロン新生 / 神経幹細胞 / アストロサイト |
Research Abstract |
海馬では成体になってもニューロンの新生が続いている。現在、成体海馬のニューロン新生は、再生医療、記憶・学習機構、精神疾患など様々な分野で注目されている。本研究では、このニューロン新生の連続性に着目し、胎生期から成体期の海馬で起こるニューロン新生を包括的に理解することを目的とする。成体期や生後初期の神経幹細胞は、GFAPを発現することが知られている。そこで、胎生期から生後初期にかけてのニューロン新生に焦点を当てて、GFAP陽性神経幹細胞の出現部位、移動経路、分化過程、顆粒細胞層への組み込み様式などを解析した。GFAP陽性神経幹細胞やその子孫を可視化する解析ために、GFAP-GFPトランスジェニック(Tg)マウスを用いた。また、標識された細胞の性質を調べるために、神経幹細胞、未熟ニューロンなどに発現する分子のマーカー抗体を用いた免疫組織化学を行った。GFP陽性細胞は、E13.5に外套内側腹部の脈絡叢付着部位付近の脳室層に出現した。E14.5からE17.5では、GFP細胞は、この脳室層と、軟膜側に新たに形成された歯状回原基に多数見られた。脳室層のGFP陽性細胞の多数はGFAPやNeurogenin2に陽性であったが、歯状回原基のGFP陽性細胞の約半数は、ニューロンマーカーであるHuやNeuroDを発現していた。しかし、新皮質形成部位では、そのほとんどがGFAP陽性細胞に分化していた。以上の結果から、1)胎生期の歯状回原基では、GFAP陽性細胞が早い時期から現れること、2)歯状回形成部位と、その他の部位では、GFAP陽性細胞の発生運命が異なることが示唆された。
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