2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳の性差形成におけるコラプシン応答メディエーター蛋白質4(CRMP4)の機能解析
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22500315
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
金子 律子 (大谷 律子) 東洋大学, 生命科学部, 教授 (00161183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 直也 横浜市立大学, 医学部, 助教 (40508793)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 細胞・組織 / 生理学 / CRMP4 / ノックアウトマウス / ドーパミン作動性ニューロン |
Research Abstract |
視床下部には、生理学的所見から性周期や性行動に関係する神経回路が存在すると考えられる。また形態学的には、雌雄間で性差が認められる神経核(性的二型核)が幾つか存在している。しかしながら、視床下部での性別特異的神経回路の形成機構や、性的二型核での性差形成機構の詳細は不明である。研究代表者はこれまでに、性差神経回路形成に関わる蛋白質をプロテオミクス解析法により探索した。その結果、性的二型核(前腹側脳室周囲核、AVPV)の性差形成時期に時期・部位特異的に、発現に有意な雌雄差を持つ性差形成蛋白質を複数見出し、そのうちの1つはCollapsin Response Mediator Protein(CRMP)ファミリーのCRMP4であった。本研究では、CRMP4ノックアウトマウスを用いて、CRMP4遺伝子の欠損によりAVPVの性差に異常が現れるか、また出生率や生殖時期・生殖周期に異常が出現するかを調べている。これまでの結果から、AVPV神経核の大きさやニューロン数にはcrmp4遺伝子欠損による変化は認められなかった。また、キスペプチンニューロン数にも遺伝子欠損の影響は観察されなかった。しかし、tyrosine hydroxylase(TH)陽性細胞数はcrmp4ノックアウトマウスの雌で有意に増加することが分かった。さらに、妊娠後期から雌のノックアウトマウスでのみTH細胞が増加することが分かり、野生型ではTH陽性細胞数に雌雄差が無い時期に、ノックアウトマウスでは既に雌雄差が形成されていることが明らかとなった。何故、CRMP4欠損がTH陽性細胞にのみ変化をもたらしたのか、何故雌でのみ変化が起きたのか明らかにすることが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までのところ、ノックアウトマウスを用いたAVPVでの形態的変化については順調に解析が進んでいる。しかし、形態変化をもたらすメカニズムの解明のための実験で苦戦している。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoでのメカニズムの解明で苦戦しているので、現在、培養神経細胞を用いてCRMP4タンパク質発現をノックダウンし、細胞生存率などの変化を調べることをスタートした。
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Research Products
(6 results)