2010 Fiscal Year Annual Research Report
網膜神経細胞の3次元再構築による形態的分類とシナプス結合の解析
Project/Area Number |
22500317
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
塚本 吉彦 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20104250)
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Keywords | 神経科学 / 細胞・組織 / 網膜 / 神経回路 / シナプス / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
(1) マウス網膜の連続切片電顕写真から得られたすべての型の双極細胞と狭い受容野をもつ型(グリシン性)のアマクリン細胞の分類とシナプス結合に関する成果を公表すること,および (2) サル網膜の中心窩と周辺野の2シリーズの連続切片電顕写真を追加撮影によって完成させ,錐体細胞,杆体細胞のマップ作りから始めて,すべての型の双極細胞,アマクリン細胞,神経節細胞の分類とシナプス結合を解析することが,本研究計画の目的である。 (1) マウス網膜については、杆体視細胞→杆体双極細胞→A IIアマクリン細胞の経路の立体構築することによって、リボンシナプスの機能的な配置を明らかにした。とくに杆体視細胞から出た同一信号が2個の杆体双極細胞に発散したあと、再び1個のA IIアマクリン細胞に集束する現象、1個の杆体双極細胞からの出力のほとんどが1個のお気に入りのA IIアマクリン細胞に集束する現象、A IIアマクリン細胞から見れば約1ダースの杆体双極細胞から入力を受けるにもかかわらず7,8割はわずか3個の杆体双極細胞から偏って受ける現象などを明らかにした。雑音に抗して稀な信号をピックアップする巧みな信号対雑音改善メカニズムと捉えてその意義を検討した。 (2) サル網膜については,追加撮影を終えて連続切片電顕像の写真ファイルを完成させた。次に立体構築のための準備作業として網膜全体の組織像を大判(110cmX150cm)のプリント紙に印刷した。透明紙に大きな目標物やニューロンを輪郭を写し取って図合わせのためのフレームを作成する作業に入った。また,Pシリーズ(周辺野)とFシリーズ(中心窩)の予備的観察を進めた。とくに,青錐体→青双極細胞→二層性神経節細胞と赤、緑錐体→ON/OFFミゼット双極細胞→ON/OFFミゼット神経節細胞の経路について最初の例を解析した。
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Research Products
(1 results)