2011 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質形成における興奮性ニューロンの分化および生存機構の解明
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22500318
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
岡戸 晴生 財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, 副参事研究員 (60221842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 千秋 財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, 主席研究員 (00281626)
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Keywords | ニューロン / RP58 / Id / 大脳皮質 / 転写抑制因子 / 分化 |
Research Abstract |
転写抑制因子RP58は、そのKOマウスの解析から、前駆細胞の増加、ニューロン成熟阻害、ニューロン移動障害、アポトーシスの増加など多岐にわたる現象に関与することが示唆される。本研究では、RP58とこれらにの現象の結びつきを、分子レベルで解明することを目的としている。 RP58欠損マウスの大脳皮質で、前駆細胞の増加に加えて、新たにアストロサイトの増加を見出した。どのようなRP58の下流遺伝子が関与するのか明らかにするために、WTとRP58KOマウスの大脳皮質での遺伝子発現の変化をマイクロアレイ解析で検討した。その結果、RP58はIdl-4のすべての転写を抑制していることを見出した。さらに、子宮内エレクトロポレーションを駆使し、Idl-4の発現抑制がp57の発現抑制の解除をもたらし、細胞周期離脱が促進することが示唆された。その結果、適切な時期に細胞周期離脱不全は前駆細胞の増加を、そしてその後にアストロサイトの増加をもたらすと考えられる。 ニューロン分化したのちも、RP58の発現が継続する。その意義を明らかにするために、ニューロン分化してからCreを発現するTau-CreマウスとRP58Floxマウスを交配させた。P3で解析したところ、ニューロンの成熟不全とアポトーシスの亢進がみられた。従って、RP58は、細胞周期離脱のほか、ニューロンの成熟と細胞生存に必須の役割を果たしていることが示された。また、前駆細胞の増加も見られることから、ニューロンの成熟が、前駆細胞の細胞周期離脱に影響する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である、RP58が前駆細胞の細胞周期離脱を制御しうる分子メカニズムを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前駆細胞の細胞周期離脱からの影響をなくすために、薬剤で誘導できるTauCrePRマウスとRP58Floxマウスとの交配を計画している。このことによって成熟後のRP58の機能を解析することが可能となる。
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Research Products
(4 results)