2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍の診断と治療に有効なミクログリア/マクロファージのサブタイプの同定
Project/Area Number |
22500321
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 惇 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80225862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中里 洋一 群馬大学, 医学系研究科, 教授 (10106908)
横尾 英明 群馬大学, 医学系研究科, 准教授 (40282389)
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Keywords | ミクログリア / マクロファージ / 脳腫瘍 / グリオーマ / トランスジェニックラット / v-erbB / 上皮成長因子受容体 |
Research Abstract |
我々は今年度の研究目的である、「トランスジェニック(TG)ラット神経膠腫におけるミクログリア/マクロファージ(mic/mac)活性化とサブタイプ」を明らかにするために、TGラット脳腫瘍を組織学的並びに免疫組織化学的に解析した。共同研究者の横尾は、Ohgakiらが樹立したS100・-v-erbB TGラットを通常の実験動物飼育環境のもと、交配を繰り返して系統を維持し、脳腫瘍で死亡したと考えられる個体について脳の摘出を行った。脳腫瘍組織は全例、光学顕微鏡用のホルマリン固定資料を作製し、一部のものは凍結生材料を保存した。ホルマリン固定後は、型の如く、脱水、パラフィン包埋し切片を作製した。免疫組織化学にはビオチン・ストレプトアビヂン法を用い、一次抗体として、GFAP、 Iba1、 CD204(scavenger receptor class A)などを用いた。脳腫瘍で死亡した約50個体について検索した結果、単独あるいは2種類の組み合わせで脳腫瘍が見出された。その組織型は、悪性神経膠腫(71.5%)、退形成性乏突起膠腫(19%)、乏突起膠腫(8%)、低悪性度星細胞腫(1.5%)であった。その中の10例でIba1とCD204の局在・分布を検討したところ、全例で、Iba1陽性mic/macが出現しており、活性型micの形態を示す細胞が腫瘍と正常脳組織の境界部に多数集族して認められた。一方、CD204は高悪性度神経膠腫の壊死巣周囲に出現したmacに発現していた。以上の結果から,1)TGラット神経膠腫では腫瘍組織の周辺部に活性型micの集積が恒常的にみられること、2)CD204陽性のM2マクロファージはTGラット脳腫瘍の壊死と密接に関係すること、が示された。活性型micないしmacの細胞由来に関しては、腫瘍・正常組織境界部の活性型micは脳在住のミクログリア由来が、そして、壊死周囲のCD204陽性macは骨髄由来の浸潤細胞の可能性が高いことが示唆された。
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Research Products
(9 results)