2011 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経細胞における軸索内局所的蛋白合成の分子メカニズム
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22500329
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
武井 延之 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (70221372)
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Keywords | 翻訳調節 / 蛋白合成 / 成長円錐 / eIF2a / eIF2Be |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き以下のデータを得た。 1)軸索及び成長円錐における翻訳装置の存在の証明 初代培養した海馬神経細胞及び、後根神経節神経細胞を用い、昨年度は翻訳伸展因子eEF2の存在を確認したが、今年度はさらに翻訳開始因子であるeIF2a(eukaryotic intiation factor 2 alpha)の存在を免疫細胞化学染色により明らかにした。eEF2,eIF2aともにリン酸化によりその活性が低下し、脱リン酸化により活性化する。予備的なデータとして栄養因子などの翻訳活性化トリガーにより脱リン酸化が進み、カルシウム過流入によりリン酸化が進むという知見を得ている。さらに詳細なデータを得るため継続して実験を行っている。 2)軸索内局所翻訳活性化のトリガーの探索 初代培養海馬神経細胞を用いた実験では、研究計画通りwnt3aによる翻訳活性化が確認された。下流ではGSK3bのリン酸化変化が見られ、eIF2Be(eukaryotic initiation factor 2 Bepsilon)のリン酸化にも変化を及ぼした。活性変化については未だ細胞レベルでの変化のみで、成長円錐で活性を測るところまで至っていない。成長円錐をこのような実験に使えるくらい集めるため、PDMS(polydimethylsiloxane)製の人工回路で細胞を培養する試みを行い、成功している。この方法で成長円錐を集め、生化学解析を行う予定である。 3)翻訳活性化トリガーの軸索伸展における生理的意義 さらに共同研究により成長円錐の原子間力顕微鏡による撮影にも成功しており、3次元の形態変化を検討することができるようになった。後根神経節ではNGF(nerve growth factor)に応答して軸索慎重と翻訳活性化が見られたので、中枢の海馬神経細胞でも同様の実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標に掲げた軸索(成長円錐)での翻訳因子群の存在を証明できた。さらに翻訳トリガーも新たに見いだしている。シグナルの解析と軸索伸展への関与についても予備的知見が得られており、本年度中に結果を取りまとめる目処がついている。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の計画とおり進行しているので、このまま継続する。
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Research Products
(5 results)