2012 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経細胞における軸索内局所的蛋白合成の分子メカニズム
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22500329
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
武井 延之 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (70221372)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 局所翻訳 / 蛋白合成 / 成長円錐 |
Research Abstract |
本年度は主に研究計画の次の2点についてデータを得ることができ、研究全般として取りまとめ(論文作成)に入っている。 1) 軸索及び神経週末における翻訳装置の存在の証明:翻訳装置として必須であるのはリボソームである。従来軸索内にはリボソームは存在しないと教科書的には記述されていた。成長円錐に関しては不明であり、局所翻訳が指摘されている今も明らかになっていない。これは生化学的解析のために成長円錐だけを集めるのが困難なことと、構造体としては非常に薄く、通常の透過型電顕での観察も困難なためである。本研究ではリボソーム蛋白P0/P1/P2の抗体(複合体を認識しているため、各構成蛋白だけではなくリボソームそのものを認識する可能性が高い)を用い、免疫細胞化学的染色を行った。初代培養した海馬神経細胞及び、後根神経節神経細胞の成長円錐において陽性反応が得られた。その他S6, L7などの抗体でも陽性であった。また各種翻訳因子の存在も確認された。成長円錐の形態は原子間力顕微鏡で詳細に解析しており、リボソームの局在という新たな知見を得ることが出来た。 2) 軸索内局所的翻訳活性化のトリガーの探索:成長円錐での翻訳活性化因子としてBDNF(brain-derived neurotrphic factor)とWnt3aを同定できた。これまでのRIラベルしたメチオニンの取込み実験に加え、ピューロマイシンとその抗体を用いたSUnSET法(Nat.Methods2009)による免疫細胞化学染色によって成長円錐において刺激(BDNF,Wnt3a)応答性に蛋白合成の亢進が確認された。 以上の結果は神経細胞の成長円錐には翻訳装置が存在し、神経栄養因子などの刺激によって新規蛋白合成が局所で起ることを示している。このことは突起伸展、軸索誘導などの生理的現象の分子基盤の一つであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)