2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500330
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宝田 剛志 金沢大学, 薬学系, 助教 (30377428)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜井 栄一 金沢大学, 薬学系, 准教授 (70360865)
|
Keywords | アストロサイト / runx2 / グルタミン酸 / 小胞体ストレス / グルタミン酸トランスポーター |
Research Abstract |
我々は、骨制御分子であるRunx2が生理条件下で神経細胞に高発現し、ストレス下ではアストロサイトで発現が誘導される事実を見出している。本研究課題では、中枢神経系に発現するRunx2に注目し、その役割を「生理学的」および「病態生理学的」な2つの側面から明らかにすること目的とした。Runx2発現ベクターを大脳皮質由来の培養アストロサイトに導入してから、48時間後にmicroarray解析を行って応答性遺伝子を探索した。また、1μMの[^3H]Gluを細胞に添加して、細胞内の[^3H]Glu放射活性を測定した。Runx2発現ベクター導入アストロサイトでは、Runx2のmRNA発現は10倍以上の上昇を示したが、この導入細胞では各種GluトランスポーターのうちGLASTのmRNA発現が著明に低下したのに対して、GLTiおよびEAAC1のmRNA発現には有意な変化は見られなかった。次いで、アストロサイトにRunx2発現アデノウイルスを感染させたところ、48時間後ではGFP発現アデノウイルス感染細胞と比較して、Runx2感染細胞において著明なGLASTタンパク質発現の低下とともに、[^3H]Glu取り込み活性の有意な低下が観察された。 一方、Runx2のDominant negative体であるΔrunx2の安定発現C6 glioma細胞株では、GFP安定発現C6 glioma細胞株と比べて、GLAST mRNA発現と[^3H]Glu取り込み活性がともに有意に上昇することが明らかとなった。以上の結果より、アストロサイトに発現するRunx2は、アストロサイト自身の生理的機能制御だけではなく、細胞外Glu濃度制御を通じて、神経情報伝達や神経毒性出現にも影響を与える可能性が示唆される。
|