2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500330
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宝田 剛志 金沢大学, 薬学系, 助教 (30377428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜井 栄一 金沢大学, 薬学系, 准教授 (70360865)
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Keywords | アストロサイト / runx2 / グルタミン酸 / 小胞体ストレス / グルタミン酸トランスポーター |
Research Abstract |
我々は、骨制御分子であるRunx2が生理条件下で神経細胞に高発現し、ストレス下ではアストロサイトで発現が誘導される事実を見出している。本研究課題では、中枢神経系に発現するRunx2に注目し、その役割を「生理学的」および「病態生理学的」な2つの側面から明らかにすること目的とし、当該年度では、主に、Runx2欠損培養神経細胞・アストロサイトを使用した解析と、アストロサイト特異的Runx2 Tgマウスを使用した研究を行った。Runx2欠損培養神経細胞を、Runx2欠損マウスより採取し、免疫染色を行うことにより、突起の形態を観察したが、野生型マウス由来の神経細胞と比較して著明な変化は認められなかった。また、Runx2は小胞体ストレスに応答性を示し、小胞体ストレス誘導剤であるTunicamycinをアストロサイトに添加することにより、GLASTの発現低下および[^3H]グルタミン酸取り込み活性は有意に減少する。この効果に対するRunx2 siRNAの効果を検討したところ、Runx2 siRNAの導入により、TunicamycinによるGLASTの発現低下および[^3H]グルタミン酸取り込み活性の減少効果は、いずれも消失した。また、GFAP-rtTAマウスとRunx2^<TRE>肥マウスを交配することにより、アストロサイト特異的Runx2 TgマウスであるGFAP/rtTA ; Runx2^<TRE>マウスを得ることに成功した。以上の結果より、アストロサイトに発現するRunx2は、アストロサイト自身の生理的機能制御だけではなく、細胞外グルタミン酸濃度制御を通じて、神経情報伝達や神経毒性出現にも影響を与える可能性が示唆される。今後は、より生体に近い条件下でのRunx2の機能解析を実施するために、各種遺伝子改変マウスを使用した解析を積極的に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では中枢神経系に発現するRunx2に注目し、その役割を「生理学的」および「病態生理学的」な2つの側面から明らかにすることを目的としているが、現時点においては、特定の病態下にてRunx2が活性化されるメカニズムの解明に成功している。またRunx2をin vivoにて解析するための各種遺伝子改変マウスの作成も順調に進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのところ、培養細胞などを使用した解析は順調に進行中である。したがって今後は、より生体に近い条件下での解析を目指し、Runx2関連の遺伝子改変マウスを使用して、培養系で得られた結果のin vivoでの追試をおこなう。さらに、それらマウスの各種行動学的解析を実施することにより、Runx2の生理学的役割についてもより詳しく解析する。
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