2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500339
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
島崎 琢也 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00324749)
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Keywords | 神経幹細胞 / 初期化 / 分化 / 神経細胞 / グリア / 再生 / ES細胞 |
Research Abstract |
本研究は、神経幹細胞による障害を受けた脳のより効率的な再生を目指し、発生初期の幼若な神経幹細胞において、その高い多能性を規定している遺伝子群をマウスES細胞分化系を用いた機能スクリーニングにより同定し、それらの強制発現により、実際にマウス胎仔脳発生後期型あるいは成体神経幹細胞の若返り(組織特異的な初期化)が可能かどうか検証するために行われている。これまで、初期および後期神経幹細胞にそれぞれ特異的遺伝子群の機能スクリーニングを、マウスES細胞の分化系とレンチウイルスベクターを用いた強制発現およびノックダウン実験によって行ったところ、神経幹細胞の時系列特異的な分化能変化に影響を与えていると思われる遺伝子を複数同定した。発生後期以降の神経幹細胞の特徴の1つは、グリアへの分化能が神経細胞への分化能に対して圧倒的に優位であることであるが、これまでに同定した遺伝子の1つは、この後期型神経幹細胞に過剰発現させると、これをほぼ神経細胞への分化する初期型の状態に戻ることが明らかとなった。また、別の遺伝子は、その機能阻害により神経細胞への分化能が優位な状態に戻すことができた。しかしながら、いずれの場合も、初期型神経幹細胞に特異的な神経細胞のサブタイプへの分化能を再獲得させることはできなかった。さらに別の遺伝子は、その遺伝子ノックダウンを行った場合、ノックダウンした細胞の周囲の細胞のグリアへの分化を促進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グリア分化能優位の後期型神経幹細胞を神経細胞分化能優位の初期型に近い幹細胞に戻す遺伝子操作法を発見した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きマウスES細胞分化系を用いた機能スクリーニングにより、初期型神経幹細胞に特異的な神経細胞のサブタイプへの分化能を規定している遺伝子群の同定を試みる。また、スクリーニングの効率化のために、マウス胎仔の様々な時期および領域の神経幹細胞の遺伝子発現プロファイリングのデータベースをDNAマイクロアレイ解析により作成し、統計学的解析によって候補遺伝子のさらなる絞込みを行う。
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Research Products
(1 results)