2011 Fiscal Year Annual Research Report
内在性神経幹細胞遊走能活性化分子の機能解析と損傷脳再生医療への応用
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22500340
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
浜之上 誠 東邦大学, 医学部, 講師 (00312025)
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Keywords | 内在性神経幹細胞 / 細胞移動 / p38 MAPキナーゼ / Tat融合蛋白質 / 培養系 |
Research Abstract |
(3)遊走する神経幹細胞の分類:「目的」Tat-p38により遊走が増強される細胞の同定を目的とした.「方法」Transwell培養器具上部に培養神経幹細胞を播種した後、カバースリップを入れた培養器具下部にTat-p38を添加し、16時間培養した.カバースリップ上の細胞を各種抗体により免疫染色した.「結果」カバースリップ上の細胞の99.5%はネスチン陽性の神経幹細胞であった.また99.4%の細胞は同時にダブルコルチン陽性であり、Tat-p38蛋白質により遊走が増強された細胞が幼若神経幹細胞であることを明らかにした. (4)Tat-p38による遊走能シグナル伝達経路の解析と新規遊走能活性化因子の同定の試み:「目的」細胞遊走を増強するTat-p38により活性化される神経幹細胞内のシグナル変化を同定することを目的とした.「方法」培養皿に培養した神経幹細胞をTat-p38にて刺激後5分の細胞を集め可溶化したサンプルを各種抗体を用いたWestern blot解析を行った.「結果」Tat-p38投与細胞ではシグナル伝達因子の変動は確認できなかったが、p38強制発現神経幹細胞を用いた結果、ダブルコルチンのリン酸化誘導が確認できた. (5)脳損傷モデルマウスでのTat-p38投与による内在性神経幹細胞遊走能活性化の解析と再生効果の検討:「目的」脳損傷モデルマウスの損傷部周囲に直接活性化因子を投与した後の機能再生効果の検討を目的とした.「方法」8週齢のマウス左大脳皮質運動野に液体窒素にて冷却したスパーテルを20秒間、3回押し当ててモデルマウスを作成した.損傷4週後にTat-p38を含んだOsmotic pumpの移植を行った.機能損傷の判定はローターロッド法、神経幹細胞活性化判定は免疫組織染色法にて行った,「結果」損傷モデルマウスの運動持続時間は健常マウスの約6割へと減少すること、Tat-p38投与マウスでは損傷部位周囲に分裂能を持つ細胞の増加が見られることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究(4)シグナル伝達経路の解析では、当初予定していた方法で変動が確認できなかったため条件検討を行ったことや、急遽p38を強制発現する神経幹細胞の作成を行ったために、計画よりも研究の進展が若干遅れている.研究(3)、研究(5)においては予定通り進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
全般的には特に問題点もなく順調に推移しており、研究計画に大きな変更を加えずに当初の計画通り推進していく予定である.特に研究(5)モデルマウスにおける再生効果の検討については、順調に解析が進んでいる. 若干研究の進展が遅れ気味の研究(4)シグナル伝達経路の解析においては、強制発現細胞を使用してダブルコルチンリン酸化の亢進という結果が得られたことから申請時の計画を若干変更し、抗ダブルコルチン抗体を用いた免疫沈降法を利用した解析を中心に行う予定である.この変更によりTat-p38蛋白質によるシグナル伝達経路の解析が順調に進展していくことが予想される.
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Research Products
(3 results)