2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500344
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 尚人 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (40313100)
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Keywords | 神経科学 / 神経栄養因子 / 開口放出 |
Research Abstract |
【目的】シナプス可塑性に伴うBDNFの分泌源と分泌を引き起こすための生理的な刺激条件を探索する目的で、マウス海馬神経細胞初代培養系に代わる、より生理的な刺激な可能なゼブラフィッシュ視覚系でBDNF分泌を可視化する実験系を確立する。 【成果と意義】(1)研究室を異動し、ゼブラフィッシュ飼育施設やインジェクション実験設備の立ち上げを行った。(2)これまで用いてきたマウス由来のBDNF分泌プローブをゼブラフィッシュの視覚系(網膜神経節細胞および視蓋神経細胞)特異的に発現させ、蛍光実体顕微鏡ならびに共焦点顕微鏡で観察を行った。同時に注入した赤色蛍光タンパクの発現は認めたものの、BDNF分泌プローブはゼブラフィッシュでは期待された発現様式を示さなかった。すなわち、細胞体にのみプローブ由来の緑色蛍光を観察し、樹状突起や軸索上には局在しなかった。その原因として、マウスBDNFとゼブラフィッシュBDNFのアミノ酸配列の比較を行ったところ、成熟型BDNFでは高い相同性を示すものの、タンパクのソーティングに重要な役割を果たすBDNF前駆体のシグナル配列が異なることが考えられた。そこで、ゼブラフィッシュのBDNFホモログをクローニングし、ゼブラフィッシュのBDNF分泌プローブを作製した。 【重要性】(1)引き続きゼブラフィッシュ胚でBDNF分泌プローブを発現させ、光刺激により視神経軸索や視蓋神経細胞樹状突起からのBDNF分泌現象の生体での可視化を試み、BDNF分泌の制御シグナル解明を目指す。(2)マウス由来の分泌プローブが期待通り作動する可能性が高いマウス脳スライスなどの実験系も検討する。分泌現象のリアルタイムイメージングによりその制御機構を明らかにし、神経栄養因子の分泌異常と精神疾患との関連への解明を目指す。
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