2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22500344
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 尚人 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (40313100)
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Keywords | 神経科学 / 神経栄養因子 / 開口放出 |
Research Abstract |
脳由来神経栄養因子BDNFはシナプス可塑性に重要な分泌蛋白質であるが、BDNFシグナルのオンオフ制御に関してはほとんど知られていない。申請者は、これまでに培養神経細胞にBDNF分泌プローブを発現させ、BDNF放出は開口放出レベルで制御されていること、BDNFの神経活動依存的な分泌源は軸索ではなく樹状突起であることを見出した。本研究は、生体レベルでのBDNF分泌過程の可視化へと発展させることにより、神経活動によって起こるBDNF分泌源を生体で同定し、分泌の制御機構を解明し、BDNF分泌異常との関連が示唆されている精神神経疾患の病理解明と新規治療法の新たな作用点を提供することを目指す。 1)ゼブラフィッシュ型BDNF分泌プローブの作製と発現 ゼブラフィッシュのBDNF相同遺伝子に基づくプローブをゼブラフィッシュ胚で発現させた。細胞体で微弱な蛍光のみが認められている。発現効率および発現量を改善するために、プロモータを改変した発現ベクターを検討した。 2)マウス脳でのBDNF分泌プローブの発現 マウス胎児脳で電気穿孔法によりBDNFプローブを遺伝子導入し、生後成獣脳からスライスを作製し、プローブの発現を確認した。 3)微小タグ型BDNF分泌プローブ BDNFプローブのpH感受性改変型GFPを数アミノ酸の小さなタグに置換し、内在性BDNFとほぼ分子量が同じ新規分泌プローブを作成した。HEK293T細胞株や初代培養海馬神経細胞で発現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たにin utero electroporation法を導入し、マウス脳での分泌プローブの発現に成功したが、生理的な刺激が可能であるゼブラフィッシュ視覚系でのBDNF分泌プローブの発現に成功していない。
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Strategy for Future Research Activity |
1)マウス脳スライス マウス型BDNFプローブの発現による研究目的の達成に全力を上げる。スライスで電気刺激パターンに応じたBDNF分泌を観察し、分泌源を探る。 2)新規微小タグ型プローブ 新規プローブの発現を確認できたので、刺激による開口分泌に伴って蛍光変化が起こるかどうかを検討する。
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