2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗うつ薬の作用メカニズムにおけるNotchシグナル伝達系の役割
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22500346
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
山田 光彦 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・精神薬理研究部, 部長 (60240040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 顕宜 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・精神薬理研究部, 室長 (00366832)
岩井 孝志 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・精神薬理研究部, 流動研究員 (90339135)
山田 美佐 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・精神薬理研究部, 科研費研究員 (10384182)
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Keywords | うつ病 / モデル動物 / 情動行動 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究は、(1)実験動物を用いたNotchシグナル伝達系調節による情動行動への影響、(2)Notchシグナル伝達系調節による実験動物の海馬歯状回の神経新生の検討、(3)海馬歯状回における抗うつ薬投与後のNotchシグナル伝達系転写因子の経時的発現変化を検討することにより、抗うつ薬の作用メカニズムにおけるNotchシグナル伝達系の役割を解明することを目的とした。 これまでに、コルチコステロンを慢性的に飲水させたマウスにおける情動行動変化を検討したところ、コントロール群に比べコルチコステロン飲水群において、ホールボード試験ではhead-dip回数の減少、恐怖条件付け試験ではfreezing timeの延長、新奇環境摂餌行動抑制試験ではlatencyの延長傾向が認められた。さらに、情動行動評価測定後のマウス脳サンプルを用いて神経幹細胞数を計測した結果、コルチコステロン飲水群において、神経幹細胞数の減少傾向が認められた。これらのことから、コルチコステロンを慢性的に飲水させたマウスをうつ病モデルマウスとして用いることとし、本年度はこのモデルにSSRIを慢性投与した後の情動行動を計測した。その結果、コルチコステロン飲水群に比べSSRI慢性投与群において、ホールボード試験におけるhead-dip回数、恐怖条件付け試験におけるfreezing time、新奇環境摂餌行動抑制試験におけるlatency、強制水泳試験における無動時間について回復が認められなかった。これら結果は、過去の報告とは異なるものである。そこで、次年度は、正常動物を用いてSSRI投与による情動行動変化を計測するとともに、海馬歯状回における神経幹細胞数の計測、Notchシグナル伝達系の遺伝子発現変化をreal time RT-PCR法により定量することを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
参考にした過去の論文と異なり、うつ病モデル動物に認められた情動行動変化が、抗うつ薬長期投与により回復しなかったため、正常動物を用いることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、正常動物を用いてSSRI投与による情動行動変化を計測するとともに、海馬歯状回における神経幹細胞数の計測、Notchシグナル伝達系の遺伝子発現変化をreal time RT-PCR法により定量する
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