2011 Fiscal Year Annual Research Report
前頭眼野における視覚空間情報のリマップによる到達運動制御
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22500348
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
蔵田 潔 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30170070)
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Keywords | 到達運動 / 運動制御 / フィードバック / 大脳皮質 / ニューロン活動 |
Research Abstract |
手あるいは眼、および両者による視覚目標への到達運動に弓状溝周辺皮質が重要な役割を果たしていると考えられている。これら領域の機能特異性を明らかにするため、ディスプレイ上に呈示した中心固視点に対し上下左右等距離にある4つの視覚目標へ、眼と手のいずれか、あるいはその両方による以下のような到達運動課題を行うようサルを訓練した。その際、眼球運動を赤外線眼球運動計測装置で、またマウスを用いたタブレットで手運動をモニターした。運動に先行する準備期間中に、次に行うべき運動が手・眼のいずれか、または両方を動かすかを示す指示信号、および4つの目標点のうちどの目標に到達すべきかを示す指示信号をランダムな順で与えた。その結果、前頭眼野を含む弓状溝周辺皮質の特に深部領域から興味深い単一ニューロン活動を記録した。その代表的な活動として、眼あるいは手の運動にかかわらず、到達運動の開始後から到達運動完遂までの間に持続的な発火を示すものが多数存在した。前頭前野では眼球運動特異的に活動を示すものが大半であったが、弓状溝の底部から運動前野腹側部と背側部の深部には、手あるいは眼のみ、あるいは手と眼両方の運動モードのどれかに特異的に活動を示すニューロンを多数記録することができた。例えば手と眼両方の運動にのみ活動するニューロンは、行うべき運動のレパートリーのどれかを符号化している活動と考えられ、最終運動司令を形成する前のプログラム機構であると思われる。このような活動は最終運動司令そのものではなく、脊髄や脳幹の下位運動中枢に直接投射しているものとは考えにくい。また、昨年度報告した運動開始後の到達から試行の完遂までをモニターしていると考えられるニューロン活動は、上丘の固視領域に投射している可能性がある。研究期間の最終年度である今年度は、これら特異的活動を示すニューロンが下位運動中枢へ投射するかを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始から現在まで順調に推移しており、最終年度の今年度前半にすべてのデータを取り終える予定である。並行してデータの詳細な解析も行っており、最初の成果を今年度中に論文として発表すべく準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はこれまでの研究成果のとりまとめを行い、論文発表をすべく最大限の努力をしている。その一方で、この研究で得られた新知見をもとに、特に大脳皮質から脳幹および脊髄への下行性制御がどのように行われているかを明らかにするため、同様の課題を用いながら、刺激電極を延髄錐体、および中脳に埋め込むことにより、下行性投射ニューロンの同定を電気生理学的に行うことで、下行性出力による運動制御の詳細を検討する予定である。
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Research Products
(3 results)