2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500351
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
恒成 隆 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (30286439)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 感覚 / 嗅覚 / 微絨毛 / 情報変換 |
Research Abstract |
嗅細胞は、匂いの感覚細胞であり、匂い物質による化学的刺激を細胞膜電位の変化による電気的信号へと情報変換する機能をもつ。嗅細胞には、細胞突起先端部で匂い物質を受容する部分の構造が互いに異なる、線毛嗅細胞と微絨毛嗅細胞があり、これらはそれぞれ異なる情報変換機構を有するとされる。水系環境に接して機能する嗅上皮をもつ水棲動物には、線毛・微絨毛嗅細胞の両方をもつものが多い。本研究では、水棲動物の水系の嗅上皮をもちいて、線毛嗅細胞と微絨毛嗅細胞の機能解析を行った。本年度は、昨年度までの研究で新たに確立できた嗅細胞記録系である、①硬骨魚キンギョの嗅上皮スライス標本からのパッチクランプ記録系、②キンギョ魚体から分離させた嗅覚組織からのリンガー液中での嗅電図(electroolfactogram; EOG)を記録する実験系を利用して、線毛嗅細胞と微絨毛嗅細胞の機能を解析し比較した。キンギョ嗅上皮のスライス標本からのホールセルパッチクランプでは、パッチ電極から細胞内に導入された蛍光色素による細胞形態が確認され、細胞の電位依存性電流の大きさと嗅細胞タイプとの間に関係性のある可能性が示された。リンガー液中でのEOG解析では、細胞外イオン組成条件を変化させることができることを利用して、キンギョ嗅上皮とウシガエル嗅上皮での嗅応答の消失課程に対する細胞外Na+の影響を比較した。その結果、線毛嗅細胞が主に存在するウシガエルではNa+-Ca2+交換体が嗅応答消失に関与すると考えられたのに対して、キンギョ嗅上皮では、線毛嗅細胞と微絨毛嗅細胞の両方の嗅応答消失過程はNa+-Ca2+交換体に依存しないことが新たに示された。淡水環境下では細胞外Na+濃度が低く、Na+-Ca2+交換体をCa2+の汲み出しに利用できないが、脊椎動物が陸棲へと進化する過程において嗅粘膜上のNa+を利用するようになった可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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