2010 Fiscal Year Annual Research Report
錐体細胞付随性グリア細胞によるニューロン活動に対する修飾効果の機序の解明
Project/Area Number |
22500352
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山崎 良彦 山形大学, 医学部, 准教授 (10361247)
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Keywords | 海馬 / グリア細胞 / 錐体細胞 / 活動電位 / 静止膜電位 / CA1 |
Research Abstract |
1.海馬CA1領域の錐体細胞の細胞体に付随するグリア細胞の形態学的および電気生理学的性質を検討した。このグリア細胞は、4~8本の細胞体から伸びる突起を持っており、各々の突起はニューロンの樹状突起やアストロサイトの突起に比べかなり太い径を示した。さらに、突起の先端で膜状に広がっている部位を持ち、特徴的な形態を示していた。また、静止膜電位は平均で約-40mV、入力抵抗は約400MΩ以上であり、電気生理学的な性質は、介在ニューロンに付随しているオリゴドンドロサイトと類似していた。 2.グリア細胞の近傍に刺激電極を刺入して求心性線維を電気刺激し、シナプス終末から放出される神経伝達物質に対して反応するかどうか調べた。しかし、電圧固定法・電流固定法のどちらにおいても、明瞭な反応は見られなかった。近くに多数の錐体細胞が存在するため、活動電位発生に伴う細胞外カリウムイオン濃度増加による変化が期待されたが、その反応もみられなかった。このことから、入力抵抗が大きいことと合わせて考えると、このグリア細胞のリークコンダクタンスは非常に小さいことが推定された。 3.グリア細胞が付随している錐体細胞と付随していない細胞との間における、形態学的・電気生理学的な差の有無について検討した。基底樹状突起の分布様式に違いがある傾向がみられたので、今後定量的な解析を行う必要がある。また、脱分極性電流注入による活動電位の発火について、初期相での最大発火周波数が小さい傾向がみられた。 以上の成果から、特徴的な性質を示すグリア細胞の存在が明らかになりつつあるといえる。また、付随の有無によってニューロンの性質が異なる可能性が出てきたことから、新しいニューロン-グリア相互作用の存在が期待される。
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Research Products
(7 results)