2011 Fiscal Year Annual Research Report
In vitroスライス培養系におけるシナプス除去とその分子メカニズム
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22500359
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大野 孝恵 帝京大学, 医学部, 助教 (60508109)
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Keywords | 皮質脊髄路 / シナプス / 可塑性 / GluN2B / GluN2A / カルシウム流入量 |
Research Abstract |
1.GluN2Bの選択的関与が2AとのCa流入量の違いだけでは説明出来ないことを、以下の結果から確認し得た。 2Bと2AKOにおけるCa流入量を同レベルに合わせる操作((1)もしくは(2))を加えた上で、両者の間でシナプス除去に違いが生じるかを、下記の手法で確認したところ、2A及び2BKO間の解離が明らかでなくなった。 操作(1)2AKOのNMDA電流を阻害剤を用いて下げる (2)2BKOのNMDA電流をMg濃度を下げることで上げる II.臨界期の終了が2Bから2Aへのシフト(2Bの減少)によっていることが、下記の結果から強く示唆された。 臨界期終了後も2Bの発現が続く2AKO由来の脊髄スライスを用いてco-cultureを作成し、臨界期の問培養液中にAPVを添加しておいて臨界期終了後にAPVを除去したところ、野生型由来の脊髄ではもはやシナプス除去が生じないのに対して、2AKOの場合にはシナプス除去が観察された。 シナプス除去の評価方法として以下の手法を用いる 手法1)膜電位感受性色素を用いた光学的記録optical imagingにてシナプス電位の変化をとらえ、その空間分布を観察する 手法2)exo utero electroporation法により大脳皮質深層ニューロンにEYFPまたはEYFP標識したシナプトフィジンを発現させたマウス由来の皮質スライスを作成し、脊髄をKOもしくは野生型としてco-cultureを行う。 今後は更に、薬物を用いて2Bをup regulateさせることにより臨界期を操作することが可能かどうかを検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の目標の一つ目は、シナプス除去にかかわる更に下流の分子メカニズムを明らかにするため、2Bの選択的関与が2AとのCa流入量の違いによるのか、2B受容体に直結する下流分子メカニズムの相違によるのかを検討することであり、また2つ目は、臨界期の終了が2Bから2Aへのシフトによっていることを明らかにすることであった。いずれも実験は順調に進み、結論を得るに到った。
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Strategy for Future Research Activity |
臨界期の終了が2Bから2Aへのシフトによる可能性が強く示唆されたことを踏まえ、今後は、野生型においては臨界期の終了時期と一致して消失する2Bが臨界期終了後も発現し続ける2AKOマウスを用いて、臨界期の終了が2Bから2Aへのシフトによっていることを明らかにした上で、薬剤を用いて2Bをup-regulateさせることにより臨界期を延長もしくは再開させることが可能なのかどうかを明らかにする。
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