2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスと機能解析による、血管平滑筋収縮と細胞骨格の関連の解明
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22500364
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岸 博子 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40359899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 誠 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80225515)
加治屋 勝子 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00379942)
川道 穂津美 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80363042)
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Keywords | 血管平滑筋 / 細胞骨格 / プロテオミクス |
Research Abstract |
1.Focused proteomicsによる、血管平滑筋異常収縮シグナル分子のリン酸化部位の決定 高感度タンデム質量分析計で同定したFyn下流の異常収縮シグナル分子群について更に解析を進め、これまでに決定したリン酸化部位のデータの信頼性を高めた。 2.RNA干渉と自動細胞イメージングシステムによる、細胞骨格関連タンパク質の血管平滑筋異常収縮に与える影響のハイスループット解析 1で同定した異常収縮シグナル分子が、真に血管平滑筋収縮と細胞骨格構築へ関与するか、自動細胞イメージングシステム(現有)と独自開発の解析アルゴリズムを用いて、ハイスループットで機能解析を行った。その結果、いくつかの候補分子のsiRNAにより、収縮と細胞骨格構築の変化に伴う複数のパラメーターの変動が抑制され、候補分子の絞りこみに成功しつつある。 3.細胞骨格関連タンパク質の、細胞骨格動態および血管平滑筋収縮への関与のin vitro解析 1・2で同定した細胞骨格関連タンパク質のcDNAの発現ベクターを、血管平滑筋細胞に導入・発現させ、異常収縮刺激時におけるこれらの細胞骨格関連タンパク質の局在および構築の変化を、生細胞イメージングで解析する事に成功した。 4.細胞骨格関連タンパク質の、血管異常収縮シグナル分子との相互作用解析 1・2で同定した細胞骨格関連タンパク質と、既知の異常収縮のシグナル分子の一つであるFynとの相互作用をHaloTagプルダウンアッセイで確認できた。 5.組織レベルでの解析 β-エスシンスキンド血管平滑筋標本に、1・2で同定した細胞骨格関連タンパク質を導入するため、組換えタンパク質の発現ベクターを構築し、発現と精製の条件検討を進めている。 6.in vivo解析 1・2で同定した細胞骨格関連タンパク質のノックアウト動物を入手し、生体レベルでの解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績概要項目1の高感度タンデム質量分析計で同定したFyn下流の異常収縮シグナル分子群の同定はほぼ完了し、リン酸化部位の決定も最終段階である。また、項目2のRNA干渉と自動細胞イメージングシステムによる、候補分子の絞り込みも成功しつつある。更に、項目3でこれらの細胞骨格関連タンパク質の異常収縮刺激時の局在と構築変化も観察でき、項目4において既知の異常収縮シグナル分子との相互作用も確認した。項目5の組織レベルめ解析と項目6の生体レベルの解析も進行している。以上より、ほぼ申請書の研究計画通りに進行していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
項目1の候補分子の同定とリン酸化部位決定は最終段階として、より信頼度を高める。項目2の候補分子の絞り込みは成功しつつあるので、このまま残りの候補分子についても検証を進め、項目3の局在および構築変化のイメージングと項目4の相互作用解析を完了させる。また、項目4の相互作用解析では、絞りこんだ候補分子と、既知の異常収縮のシグナル分子であるFynやROKとの相互作用を、HaloTagプルダウンアッセィに加え、分子間相互作用解析装置(BIACORE)(現有)で解析する予定であり、組換えタンパク質の発現ベクターを構築し、発現と精製の条件検討を進めている。この組換えタンパク質は、項目5の組織レベルでの解析にも使用するが、発現や精製が、困難なケースに直面した場合は、受託や購入も検討し、最終年度内に完了させる。項目6の生体レベルでの解析は、既に野生型マウスを用いての血管攣縮モデルの作成は完了し、現在はノックアウト動物を入手して解析を進めているが、十分な信頼度を得るために必要な個体数に達するまで、解析を進める。
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Research Products
(3 results)