2011 Fiscal Year Annual Research Report
リアノジン受容体の機能サブドメインを介する筋小胞体Ca2+遊離の制御機構の解明
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22500366
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
上原 明 福岡大学, 医学部, 准教授 (60140745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 清子 福岡大学, 医学部, 准教授 (00084244)
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Keywords | カルシウムイオン / 興奮収縮連関 |
Research Abstract |
我々は、細胞内生理活性物質リガンドに対する受容体であるRyR分子の細胞質内ドメイン内結合部位を見出し、生物物物理学的手法により、その構造機能相関的評価を加える仕事に長年従事している。その一貫として23年度は、細胞内に数mMの濃度で存在するポリアミン(スパーミン)という生理活性物質の結合部位を選び、その分子生物学的特定作業を行った。筆者らは以前、生物物理学的手法を用いてポリアミンのリアノジン受容体における結合部位の存在を示唆し、チャネル活性の阻害作用を報告した。ポリアミンは陽イオン電荷を持つので、酸性アミノ酸が特徴的にたくさん並ぶ部位を中心に変異体を作成し機能評価を加えた。全長のうち一箇所の特定アミノ酸領域における変異体のみに、ポリアミンの阻害効果を消失していた。このことから、ポリアミン結合部位の構成アミノ酸領域は特定されたと考えている。 リアノジン受容体は、心筋細胞が興奮収縮するために必須なCa^<2+>を小胞体から細胞質方向への一方向に遊離させるCa^<2+>誘発性Ca^<2+>遊離を担う実体分子である。細胞質内のスパーミン結合部位が特定されたことから、細胞質側から小胞体内腔へのCa^<2+>が逆流することが細胞質スパーミンにより阻まれるという私の作業仮説が、今回実証されたものと考えられる。 このように、生理学的活性物質のリアノジン受容体機能ドメインのアミノ酸領域が特定され、その分子間相互作用に関する構造機能連関の新知見が得られると、筋興奮収縮連関における筋小胞体レベルのCa^<2+>遊離制御の分子機構に関する新たな理解に繋がる。現在調べている他の生理活性リガンド物質の結合部位の解析結果を併せれば、リアノジン受容体の複数の機能サブドメイン群によるチャネル活性制御機構の総合的理解も進むと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リアノジン受容体の遺伝子の分子サイズが、数k Bpの他のイオンチャネル蛋白と較べると、15k Bpと極端に大きい。また、リアノジン受容体は、細胞内へCa動員するなので形質転換や液体培養時に脱落する傾向が強い。この2点が、本課題におけるリアノジン受容体の分子生物学的なミュータント標本作成を手間取らせる結果につながる。今回、達成度として(3)のやや遅れていると自己評価はしているが、本研究は着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として、形質転換効率や液体培養後の遺伝子プラスミドの回収率を少しでも高めたい。更に、アルバイトを雇い、仕事のペースアップを計る。
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