2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会行動を利用したモルモット音弁別の音響および神経基盤
Project/Area Number |
22500368
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小島 久幸 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00104539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀川 順生 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50114781)
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Keywords | 聴覚皮質 / 自然音弁別 / 条件付け / 報告行動 / モルモット |
Research Abstract |
本年度の成果:日々行う給餌に際して生じる音(足音)を条件刺激音として餌と連関させると容易に音識別学習がなされることが判明した。さらに他の7種類の自然音と組み合わせた試験音セットを聞かせても、足音(標的音)に対してのみ学習行動が惹起されることが解明された。一方この学習過程において、条件刺激音に続く給餌にともなう雑音に動物がしばしば条件づけられてしまうことが予備実験で判明していたが、これを回避する方策として2匹同時に訓練箱に置く事により、2個体間で競争の原理が働き少しでも餌を他より早く獲得しようとするため、先行する条件刺激音により注意を払うようになり、効率のよい学習をさせることが可能となった。 意義:モルモットは聴覚末梢研究に非常に多く貢献してきたにも拘らず、学習に適していないと長く考えられてきた(PubMed, guinea pig x cochlear=5852, guinea pig x leaning=532ないしguinea pig x auditory cortex=312)。行動学習が可能となれば、内耳損傷における人工内耳装着の基礎実験においてどの程度機能回復がなされたのかを、従来から行われてきたABR(聴性脳幹反応)に加えて、判定できるようになる。 重要性:さらに音識別時に示す特異な報告行動に基づき、刺激音を変調し、音のどのような要素が脳でどのように処理されているかを解明する事ができるものと期待される。 目下この方向性の実験を継続する予定である。音識別の機構が解明されると"意義"で述べた人工内耳施術においてどのような変化が脳内に生じる事に寄り、機能が回復していくかを調べられるものと考えられる。
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