2011 Fiscal Year Annual Research Report
社会行動を利用したモルモット音弁別の音響および神経基盤
Project/Area Number |
22500368
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小島 久幸 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00104539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀川 順生 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究所, 教授 (50114781)
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Keywords | オペラント条件付け / 自然識別 / 行動実験 / 社会行動 / 聴覚皮質 |
Research Abstract |
自然音はharmonicな動物の鳴き声や人の音声とnon-harmonicな環境音からなる。環境音は多様な包絡を示す広帯域ノイズの音から構成されていて、自然状況下では捕食動物の接近音や、実験環境下では給餌者の足音などが例であり、harmonic音同様に動物の行動変化を引き起こす。動物ではトリを除いて音認識機構は十分には解明されていない。またトリですら元来harmonicなsongをコミュニケーションに使用することからnon-harmonicな音の識別についての機構はほとんど解明されていない。 本研究は長所としての音感受性の良さ、鳴き声の周波数帯域が人の声と重複すること、臨床での蝸牛implantで頻繁に使用されてきた実績等を考慮して、モルモットを訓練し特定の標的音に条件付けさせ、標的音から周波数要素と時間要素を別々に取り除いた試験音に対する反応行動から、音識別にそのような音響要素が関与するか、更にその音識別機構を神経科学的に解明することを目標とした。従来音による条件付けが不安定であると考えられていた動物種であるモルモットの訓練は、競争原理を利用し2匹同時に訓練を施すことにより僅か3週間ほどで条件付けることが出来るようになった。 また標的音から周波数要素と時間要素を別別に除去し、それら変更音に対する反抗行動を指標にして、音識別の差異に依存している要素を同定した。モルモットは低い周波数成分を欠く変更音には標的音と異なり反応行動を示さなかった。また時間軸に標的音を反転させた変更音にも行動反応を示さなかった。一方高周波成分を除去した変更音や、標的音の構成するセグメントの順序やセグメント間隔を変えた変更音には、標的音と同様な反応行動をおこした。以上から低い周波数要素と微細な時間要素に依存して、モルモットはnon-harmonicなノイズ様の自然音を識別していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動学的に動物の音聞き分けの可否をほぼ80%の達成度を指標にすると3週間で条件付けができることから今後行う神経学的解析の基盤となりうる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画では、動物のnon-harmonicな音に対する識別機構が不明なため、現時点で3方向からの探索的アプローチを検討することが必要と考えられる。その際達成すべき技術レベルによる時間的な制約が生じる可能性がある。これを回避するため、どれが最適などうかを検討することに重点をおくのではなく、探索時点で可能性のある技術を見いだしたら、それを重点的に推進する計画とする。
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