2010 Fiscal Year Annual Research Report
高度な計測信頼性を実現する新型近赤外脳機能計測システムの開発
Project/Area Number |
22500374
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山田 亨 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (10344144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅山 伸二 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (90344100)
松田 圭司 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (50358024)
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Keywords | 脳機能計測技術 / 近赤外脳機能計測法,fNIRS / 脳血流変化 / 全身性血流変化 / 計測アーティファクト / multidistance probe arrangement |
Research Abstract |
今年度の配算が新規に装置を構築する必要額に満たないこと、また島津製作所の三波長型市販装置を使用できる環境が整ったことなどを踏まえて、既存の試作装置に改造を施すことで経費を圧縮し、一方で、当該技術の検証を高い信頼性で行うために生体機能モニタリング用のポリグラフ装置を購入した。これらの整備に基づき、独自に開発したプローブホルダシステムを有する高時間分解能三波長のmultidistance型近赤外脳機能計測(multidistance fNIRS)システムを完成させた。 完成したシステムを用いた被験者実験を行い、より高い信頼性でmultidistance fNIRS計測が行えること、また二つの光源-検出欄距離を15mm,3mmに変更した場合にも遜色のない計測が可能であることを確認した。これらのデータを島津製作所に開示し、同社とmultidistance fNIRSの技術移転を目標に共同研究契約を締結した。 さらに我々は、これらの実験データを詳細に解析することにより、頭部血流変化を二つの様態、すなわち容積性の変動成分と流速性の変動成分の混合として考える新たな血流モデルを着想した。このモデルに基づいて、通常のfNIRSデータを上記二つの成分に一意に信号分離するアルゴリズムを構築した。そして、脳機能課題およびアーティファクト課題での実験データに適用して検証を行った。その結果、体位変化や呼吸状態の変化などの影響は容積性成分に、脳機能に伴う局所的な血流変化は流速性成分にそれぞれ生じることが明らかとなった。この結果は、市販のfNIRS装置でも何ら装置改変せず、multidistance fNIRSと同等の高い計測信頼性が獲得できることを示す極めて重要なものである。これらの成果は平成23年度に関連諸学会で発表を予定している。並行して、手法の特許出願準備および論文投稿準備を進めている。
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