2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳皮質神経カラム電気刺激による人工感覚の生成とその制御
Project/Area Number |
22500375
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高島 一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (90357351)
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Keywords | 膜電位イメージング / 体性感覚野 / バレル皮質 / 触知覚 / 電気刺激 |
Research Abstract |
ラット一次体性感覚野バレル皮質には、1本1本の頬ヒゲに対応する体部位の局在的再現がある。膜電位イメージング手法を用いれば、1本の頬ヒゲに感覚入力を与えた時、バレル皮質における神経興奮応答を可視化することが可能である。本年度はまず、ラットの頬ヒゲ1本に1度だけの曲げ刺激を与え、その際に惹起されるバレル皮質応答を膜電位イメージング法により画像化した。結果、刺激を行った頬ヒゲに対応するバレルでの神経興奮応答と、それに引き続き、近傍の皮質バレル領域へ広がる神経興奮伝播が観測された。本研究課題の目的は、このバレル皮質の神経興奮活動の時空間パターンを、刺激入力依存的に変化させ、そして脳への電気刺激によりこれを再現することにある。 しかし、本年度の研究で改めて明らかになった問題は、同じ感覚入力に対して必ずしも同じバレル皮質応答が再現されることはなく、特に、動物の麻酔深度による影響が大きいことが明らかとなった。本研究課題は、将来的には覚醒下での動物脳への電気刺激を計画しているので、麻酔深度の影響を詳しく解析する必要が生じた。本年度、イソフルレンガス麻酔装置を導入し、麻酔深度を適宜制御することによりバレル皮質応答パターンのバラツキを小さくすることが可能となった。麻酔深度と皮質応答の時空間パターンの関係については、現在、詳細な解析を継続中である。また、実際に大脳皮質の電気刺激を試みる中で、電極サイズと動物脳の大きさの関係も検討すべき重要な問題であることが明らかになった。数種類の体重の動物を用い、脳の電気刺激により惹起される神経活動の膜電位イメージングを比較し、本研究課題の遂行に最適な動物個体サイズの決定を行い、実験系を確立した。
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