2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドップラ光コヒーレンス断層法による脳皮質深部微小循環調節機構の解析
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22500376
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
関 淳二 独立行政法人国立循環器病研究センター, 生体医工学部, 室長 (20163082)
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Keywords | ドップラOCT / 神経循環カップリング / 局所循環調節 / 脳機能イメージング / 機能的カラム / 層構造 / 穿通枝血管 |
Research Abstract |
脳皮質は機能的カラム・層構造のようなサブミリメータの3次元構造を有し、神経活動も空間的に局在化している。神経活動に伴う酸素需要の増大は局所血流の増大を必要とし、神経循環カップリングと呼ばれる血流調節が為されている。従って皮質内の神経組織におけるカップリングを解析するためには、脳皮質組織を深さ数mm、数μm程度の空間分解能で観察する必要がある。光干渉断層法(OCT)はこれら条件を満たしているが、反射率の違いを画像化するだけであるため、皮質深部の微小血管を構造画像から同定することは困難である。本研究では、血流によるドップラ周波数偏移を検出し微小血管のマーカーとすることにより、脳皮質深部微小血管の3次元構築及び血流速度分布の計測法を確立し、神経活動に伴う脳局所血流変化の解析に応用した。 ラットを対象にしたin vivo実験によって、本手法は皮質の深さ2mm程度までの微小血管、特に穿通枝細動静脈を有効に検出できることが示された。血流速度の3次元分布は脳表軟膜細動脈から穿通枝細動脈への分岐部の構造、穿通枝血管の皮質内分布を明瞭に可視化可能にした。また、同時計測した大腿動脈圧を基準にして微小血管血流の拍動性を定量化でき、動脈、静脈の分別を可能にした。 更に、下肢電気刺激をした際の皮質内微小血管血流速度を計測した結果、1次体性感覚野下肢領域を走る血管では、軟膜細動脈、穿通枝動脈、静脈のいずれも10%程度の血流速度増大を示したのに対し、他領域の微小血管ではいずれも有意な変化は見られなかった。 このようにドップラOCT法は、ミクロンレベルでの3次元的な神経循環カップリングの解明、皮質の各層間への血流分配機構の解明に役立つと期待される。
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