2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト疾患モデルウサギの精子バンク構築に向けての関連技術の整備
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22500386
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
北嶋 修司 佐賀大学, 総合分析実験センター, 准教授 (70284643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西島 和俊 佐賀大学, 総合分析実験センター, 助教 (70435874)
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Keywords | 凍結保存 / バイオリソース / 疾患モデル / ウサギ / 遺伝子改変 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、新たな保存液の探索を行うとともに精子凍結条件の検討を実施した。現在使用している凍結保存液には、ニワトリの卵黄が含まれている。卵黄は、家畜の精子凍結の際も凍結保存液にしばしば加えられているが、品質が安定しない、微生物汚染、海外へ輸送する場合には卵黄自体が検疫対象物となるなどの問題点を有している。そのため、卵黄を含まず、化学的に構成成分が明らかな新規の凍結保存液の開発が必要である。これまでに様々な試薬を試しているが、現行の凍結保存液(卵黄-アセトアミド溶液)に代わり得る保存液の開発には成功していない。今後も継続して探索を行う予定である。しかし、現行の凍結保存手技の改善として、ウサギ精子にCholesterol-loaded cyclodextrin(CLC)を添加することで、凍結融解後の精子運動率が有意に向上する事を確認した。さらに、CLCを添加した凍結融解精子を用いて人工授精後の卵の受精率(人工授精後24時間で評価)を検討したが、非添加群に比べて高い受精率を示した。これについては、今後、CLC添加の効果について、人工授精後の妊娠率、平均産子数で再評価する予定である。 また、近年、マウスでは、凍結配偶子の輸送にドライシッパーを使用しない簡便な手段として、ドライアイスを使用した方法が利用されている。サギ凍結精子においてもドライアイスによる輸送が可能であれば、有用な手段どなる。そこで、ウサギ凍結精子について、ドライアイス中の保存性について検討を行った。その結果、凍結後、ドライアイス中に2日間保存された後融解した精子において人工授精に必要な数の運動精子が得られることが確認できた。今後、実際にドライアイスを用いた凍結精子の輸送を行い、融解後の精子から産子が得られるかについての検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にしたがい実験を実施しており、概ね予想された成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、これまでの検討(H22~H23年度)で得られた結果をもとに、実際に、凍結精子の輸送を実施し、その実行性を確認することを計画している。また、新規の凍結保存液の開発は、試行錯誤で様々な候補の試薬の効果を検討する必要がある。今後も継続して適切な試薬の探索を進める。これらの検討を通して、ウサギバイオリソースの保存、供給体制の整備に必要な基盤技術の整備を行う。
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