2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500390
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
荒田 悟 昭和大学, 遺伝子組換え実験室, 准教授 (20159502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼丸 洋 昭和大学, 医学部, 准教授 (30177258)
中町 智哉 昭和大学, 遺伝子組換え実験室, 助教 (30433840)
畠 あずさ 昭和大学, 動物実験施設, 技術員 (20568290)
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Keywords | 中枢性呼吸疾患 / PACAP / 疾患モデルマウス |
Research Abstract |
乳幼児突然死症候群(SIDS)など先天性中枢性呼吸疾患は、解析手法が難しいこともあり、原因遺伝子など不明なことが多い。我々は呼吸異常を示す遺伝子欠損マウスを用いて呼吸疾患発症について解析を進めている。本年度は、ヘテロ同士の交配ではメンデル比で出生するが、生後3週以内にほとんどが死亡するPACAP (Pituitary adenylate cyclase activating peptide)の欠損マウス(C57BL/6背景)について、その死亡原因と呼吸異常の関連を検討した。全身性プレチスモグラフィによりin vivo呼吸解析を行った結果、出生時(PO)のPACAP KOマウスは、野生型マウスに比べて、無呼吸が頻繁に見られる不規則な呼吸パターンを示していた。野生型マウスの呼吸は、出生時より漸次呼吸頻度が増えP7では成体と同程度の呼吸頻度となるが、P7のPACAP KOマウスは呼吸頻度、分時換気量ともに野生型の50%程度と少なく、呼吸馴化が遅いことが分かった。また、高二酸化炭素(8%CO2/air))、および低酸素環境(5%O2/N2)における呼吸パターンを調べた結果、PACAP KOマウスは低酸素に対する応答性が野生型に比べて低下していた。一方、新生マウス(PO)の摘出脳幹脊髄標本を用いて、横隔膜(C4)の活動を調べた結果、PACAP KOマウスの発火は、野生型に比べて極度に少なく、不規則なパターンを示した。また、標本の還流液の二酸化炭素濃度、または酸素濃度を変えて調べた結果、PACAP KOマウスは低酸素に対する応答性が弱かった。以上のように呼吸中枢においてもin vivoの解析と同様な結果が得られたことから、PACAP KOマウスは中枢性の呼吸異常、特に低酸素に対する応答性が低下していることが示唆された。現在、呼吸中枢における組織学的検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PACAPKOマウスの乳児期の死亡について、中枢性の呼吸異常がその誘因となっていることを強く示唆することができた。また、その原因として低酸素に対する応答性の低下が示されたことは、これまで呼吸中枢における酸素受容器に対する知見が少なかったことを考えると中枢性呼吸異常を明らかにする上で重要な知見と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
PACAP KOマウスに中枢性の呼吸異常が明らかになったが、乳児期の突然死の直接的な原因となることの証明はまだない。そこで、突然死がおこる生後7日目以降の呼吸解析が必要と考えている。また、呼吸中枢における組織学的研究、遺伝子発現の網羅的解析など分子生物学的研究により、そのメカニズムを明らかにする必要がある。
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Research Products
(11 results)