2011 Fiscal Year Annual Research Report
Ali18変異による炎症発生機構の分子、細胞、個体レベルでの解析
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22500392
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
阿部 幸一郎 東海大学, 医学部, 講師 (90294123)
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Keywords | 実験動物学 / 病態モデル / 関節炎 / 炎症 / シグナル伝達 / リン酸化 / マウス遺伝学 / ENU |
Research Abstract |
Ali18マウスは、化学変異原で誘発された変異系統で関節を含む四肢末端部に炎症性の発赤と腫脹が発生する。現在までに、候補領域内のリン酸化酵素をコードする遺伝子の触媒部位付近にミスセンス変異が検出された。本研究では.、Ali18変異の炎症発症機構を分子レベル、細胞レベル、個体レベルで総合的に理解して治療薬開発などの応用へと結び付けることを目的とした。昨年度までの研究で、野生型またはAli18変異タンパクの発現ベクターを哺乳類培養細胞へ遺伝子導入し、リン酸化活性の比較を行った。その結果、野生型と変異タンパクの間ではリン酸化活性の大きな変化は認められなかった。そこで今年度は、GSTタグとの融合タンパクとして大腸菌で発現させてタンパク精製を行っている。同じファミリーに属するリン酸化酵素では、同方法により活性を測定に成功した報告がある。タンパク精製により精度を高くして、標的となる合成ペプチドを用いて活性測定を行っている。細胞レベルでの解析では、Ali18変異系統とマスト細胞を欠損するW/W^Vマウスとの交配で関節炎が全く発症しないことが明らかになった。このことからマスト細胞のはたらきが炎症発生に重要であることが明らかになった。しかし、変異マウス骨髄よりマスト細胞を培養して解析を行ったところ、特に異常は認められなかった。培養により認められるマスト細胞は粘膜型であり、組織型マスト細胞に異常がある可能性も考えられる。そのため、培養したマスト細胞をW/W^Vマウスに移植して組織型へ分化させる実験を準備中である。また、個体レベルの解析では、原因遺伝子座のBACクローンを複数購入して、それぞれのクローンの解析を行った。現在、それらを用いてコンストラクションを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分子レベル、細胞レベル、個体レベルにおいて達成目標を立てたが、分子レベルと細胞レベルでは順調に結果が出てきている。しかし、個体レベルに関しては、BACトランスジェニックマウス用のトランスジーンのコンストラクションが遅れている。このため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
精製タンパクの酵素活性測定については、現在までにタンパク精製を終了して基質となる合成ペプチドも入手しており準備は整っている。しかし、酵素活性測定の最適条件の検討などに時間がかかる可能性がある。また、マスト細胞の移植には、移植を行う宿主マウスの遺伝的背景をAli18マウスと同じにする必要がある。このため、8世代程度の戻し交配が必要である。スピードコンジェニックという世代数を短縮する方法もあるが、労力が必要である。BACの修飾においては、BAC recombineering技術を用いて行う予定である。この技術を用いるのにMTAが必要である可能性があり、早急に確認を取る予定である。
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Research Products
(4 results)